SCENE.5 対最速

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「だけど、俺はそんなんじゃないと思うな。」 「ん?どうゆう意味?」 「つまり、優希は全く緊張してない訳じゃないと言いたいんだ。」 迅が美佳に言った意味深な台詞。 言われた方の美佳は意味が分からないといった様子で、首を傾げていた。 その仕草に、迅は「可愛い」と感じた。 実は迅。 かなりの妹思い、所謂シスコンだったりする。 ちなみに本人は重々自覚している。 頭の中の煩悩を振り払い、話を続ける。 「アイツは走り屋として言うならかなり高いレベルにいる。ドライビングのスキルもそうだし、それを支える精神力。そしてすば抜けた身体能力。優希は速くなる要素を兼ね備えてる。」 「それはつまり、優希は走る事に関しては完璧って事?」 「人間に完璧なんて有り得ない。優希もそうだ。だが限りなく完璧に近い。もちろんまだまだ経験が足りないがな。 だが、仮に優希がミドルウェイトのZよりも軽い、例えばライトウェイトの車に乗ってれば、負け無しの走り屋になれただろうな。」 「なら・・・何で優希はZに乗ってるの??」 美佳からの素朴な質問に、迅は答えよう口を開いたとしたが、すぐに辞めて口を閉ざした。 何でもかんでも教えるのはつまらない。 たまには自分で調べさせよう。 「こっから先は本人に聞いてくれ。」 「えっ!?何で!?」 「何でもいいから、だ。」 迅は笑っていた。 これからが楽しみだ、と。 「ならせめて優希が緊張してる意味を教えてよ。」
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