7.そんなこと、俺に聞くな。俺に。

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遠い。 気まで遠くなりそうな距離だ。 だが、ここで気絶している場合じゃない。 絞り出した力で水を蹴る。 片手でゆずるを抱きながら、もう一方の腕で水をかく。 苦しい。息が。 酸素が欲しくて、半ば藻掻くように、上へ、上へ、泳ぐ。 「はあっ」 口が空気に触れたと同時に、水もろとも酸素を肺の中に詰め込む。 「ぐっ。げほっ。ごほっ、ごほっ」 あまりの苦しさに涙が流れ出た。 咳き込みながら、やっとの思いでプールサイドにたどり着くと、まずはゆずるを水から上げ、自分も上がる。 「おいっ」 呼ぶが返事がない。 揺すっても反応がない。 息は? 口元に顔を近付ける。 していない……? 心臓は? ……動いている。 弱々しくはあるが確かに動いている。 わずかにホッとして、直久はゆずるの頬を叩く。 「ゆずる、おいっ。しっかりしろよ」
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