うたかた。終幕。

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後ろ手にドアを閉めた。 振り向いたら彼の横に舞い戻ってしまいそうだから。 『・・・またね』 彼の言葉を脳内で何度も繰り返す。 口元が緩んじゃう 受付で、連れはもう少し部屋に残ります、と告げ外に出た。 あぁ。今日もいい天気 昨日のことが走馬灯のように流れる。 待ち合わせして。 電車に揺られて。 チケット買って。 歩き回って。 歌って。 飲んで。 ダダをこねられて。 道案内されて。 くっつかれて。 柔らかくて。 寝息を聞いて。 あっという間に過ぎた1日。 このあと、私達はどうなるんだろう。 これで逢うのは終わりかな。 まッ。深く考えるのはよそう。 なるようにしかならないのだから。 それも彼次第だもの、ね。 でも。メールも電話もなくなったら少し寂しいかな。 少し・・・いえ。かなり(笑) 彼は。昨日は楽しかったのかな。 そうであってほしい。 ただの『はけ口』じゃなかった、と思いたい。 それだけが目的じゃなかった、と。 アタシはね、本当に楽しかったよ。嬉しかったよ。幸せ気分を満喫したよ。 夢のような時間は儚く。泡と化す。 …さぁて。 帰ろう  
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