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血のような赤き大地・・・火星。
ナノマシン、ドリームミストによるテラフォーミングを経ても尚、その大地や空の色が変わることはなかった。
そして今・・・
火星は大量の人の血を啜る、本物の地獄へと、その姿を変えていた・・・
「何で・・・なんでこんな事に・・・」
その大地に、二の足で立っている人間は、2人だけだった。
物語は、二日前に遡る・・・
キィイイイイン!!
空を切裂く鋭い音を響かせて、1機の戦闘機と、2機の人型兵器が火星の空を飛ぶ。
戦闘機を操縦する男のコクピットに、電子音についで通信が入る。
<後、もらいましたよ隊長!>
<覚悟してください!>
戦闘機の後に、ぴったりと付いて飛ぶ人型兵器。
銃を構え、今にも発砲されるかという瞬間、戦闘機は地面に向かって機首を回頭させた。
「…」
戦闘機のパイロットである青年はスロットルを手前に引く。
推力を失い、地面に向かって落下する戦闘機。
<あ!?>
<お、追え!!>
戦闘機を追い、人型兵器もその後を追う。
地上300メートルといったところだろうか。
戦闘機は以前、その速度を落さない。
グングン地面は近づいてくる。
200メートル、100メートル、50、30、20…
<だ、だめだ!このままでは地面に激突するッ!!>
<上昇だ!!>
戦闘機から距離を取る人型兵器。
「今だ!チェンジヒューマンモードッ!!」
中央コンソールのボタンを押す戦闘機のパイロット。
すると、戦闘機が変形を開始する。
後部ブースターが垂直に起き上がり、足を形成する。
「ここだっ!!」
だがパイロットの青年は全ての変形が終える前に、スロットルを思いっきり押し込む。
ゴウッッッ!!!
垂直に伸びた『足となったブースター』が、思いっきり火を吹く。
「・・・ッ!!」
とてつもないGを耐え切り、一気に2体の人型兵器の上を行く。
そしてボディから二の腕が飛び出し、機首が折りたたまれ胸部を形成、機首があった場所から人型の頭部が出現する。
<し、>
<しまった!!>
「遅い」
腰から一丁のハンドガンを取り出す。
照準を付け、発砲。
ドウン、ドウンッ!!
弾は見事に2体の人型兵器の背面にヒットする。
だが2体が爆発炎上する事はなかった。
弾は、訓練用の…ペイント弾だったのだ。
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