もどる想い 離れる想い

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『忙しいって、どうせ、元カノの事ばっかり考えてたんでしょ!』 優香は、意地悪く言った。 司は、一瞬、ドキッとした、 「いや、本当にバタバタしててさぁ」 と優香の横に座った。 すると、優香は司を避けるように立ち上がり、 『ごめんね、明日早いから、帰るね…』 と言って、玄関に向かった。 司は、優香の腕をつかみ、 「ごめん!メールしなかったの謝るから。」 と、言って部屋に戻そうとしたが、 『ごめんね、今日、忙しくてさ、ちょっと疲れてるの…。』 優香は、そう言って自分の部屋に戻った。 司は、優香の態度がわからなかった。 「なんだ?アイツ…。メールくらい別にいいじゃん、わかんねぇなぁ」 と、司は言って、コーヒーを一気に飲みほした。 優香は、部屋に戻り ソファに座り、先ほどの食べ残していたお菓子を食べた。 本当は、『別れよう』と言いたかった。 でも、司の顔を見ると、無理だった。 司の物を置き、司の部屋に泊まらずに、部屋に帰ってくるのが精一杯だった。 自分の、今の気持ちを言うことが出来なかった。 何から言ったらいいかわからず、 沢山の事を同時に言いたいくらいで、 頭の中で、ちゃんと整理しようと感じた。 しかし、今、 別れたいと思う気持ち、 やっぱり好きだと言う気持ち、 2つの気持ちが、同じ大きさで胸の中に存在し、 どうしていいかわからなくなっていた。
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