第一部・序章

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僕たちは部屋の外に出ることにした。 外の廊下は誰か管理している人が居るのか、電気は全部点いてて、殺風景な通路が左から右に伸びていた。 宛も無く廊下を歩いて30分くらい経った頃、コールは上に登る階段を見つけた。 「早く出ようぜ、こんな所。今まで扉があったけど開かないのばっかだったし。凄い気味悪いよ・・・」 コールが階段に足を掛けた時、上からヘドロみたいな液体が降って来た。 「うお!」 急いで階段から離れるコール。 階段の上には、ゾンビのような怪物が立ち塞がっていた。 奇妙な叫び声を上げながら、突進してくる怪物。 「たぁぁすけてぇぇ!」 とゾンビは溶解液を、アイ目掛けて口から噴射した。 「きゃ!!」 退くアイ。 ベルがパニックになり喚いた。 「何でこんな怪物がここに居るんだよ!わっ!」 ベルが怪物に押し倒された! 「た、助けて!」 このままじゃやられる! そう思った僕は、無意識にベルを喰わんとしている相手に、左手を向けていた。 「燃えろ!」 叫んだ瞬間怪物の体の隅々から、炎が燃え上がり、ベルは何とか離れることが出来た。 身体が炭になりながら怪物は涙を流した。 「ナゼ?ナゼェェェ!?」 ベルは歓声を上げた。 「やった!お前どうやったの!?」 しかしその言葉は僕の耳には入らなかった。 僕は燃え朽ちる怪物を見て涙した。 心は何故か罪悪感で満たされた。 そして頭を振り言った。 「とにかくここから出よう!外に出れば何か解るかもしれない!」 三人は僕に賛同した。 外への扉を見つけるまで、僕たちは様々な怪物と対峙した。 そして倒す過程で、コールとベルに能力が覚醒した。 しかし倒す度に、僕たちは悲しさが積もるだけだった。 怪物達の全てが、泣きながら死んでいったのだ。 やっと出口を見つけた時に、僕たちは走り気味に駆け出したが、何かに足をすくわれた。 何が起こったのか体を起こすと、床に流れている液体状の何かが喋り出した。 「お前らは名前があるのか?」 アイは腰に手を当てながら答えた。 「まぁ一応。私はアイ・・・・」 アイの声は遮られた。 「憎い!憎い!妬ましい!お前らは名前があるのだな!殺してやる!」
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