序章【出逢い】

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序章【出逢い】

  キミと出逢ったのは 深遠の空から、ハラリハラリと粉雪が無限に降り注ぐ純白の世界。 ボクの眼に映った一人の人間。 でも、世界でたった一人のヒト。 何よりも心の拠り所にしていた、木々は、花は、空は、雪は。 彩りは霞み、刹那で色褪せた。 ヒトなんて 嫌悪の対象でしかなかった筈なのに。 心底憎んでいた筈なのに。 キミの言葉は一瞬でボクを射抜いた。 稲妻のように全身を駆け巡り、響き ボクの真ん中にある核のようなところで奏でた。 その稲妻は、蜜のように甘かった。 この世界では ボクを傷付け、苦しめたのもヒト。 けれど、どーしようもないくらい魅き付けたのもヒトだった。 そんな皮肉みたいに、キミは居たんだ。 「俺はね、夏生まれだから、きっと。 寒い冬の日に死ぬんだよ。」 キミは言った。 ボクはただ、キミを見つめ 立ち尽くして居た。       舞い落ちる粉雪は ハラリハラリと2人に降り注ぎ続けた。
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