悪意

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いつものように、新宿駅から店までの道を早足で歩く。 不意に後ろから肩をたたかれた。 「おはよっ蘭」 美憂だ。 「あれ?そのストラップ、新しいの?蘭がキャラもの持つなんてめずらしいね」 あたしの右手を見て、美憂が言う。 メタリックベージュの携帯にぶらさがる、目付きの悪い猫。 「でもなんか蘭に似合ってる。可愛いじゃん」 「そう?ありがと。気に入ってるんだ」 ほほえんで、携帯をバッグのポケットにしまう。 樹生が店に来なくなってから、1ヶ月が経とうとしていた。 .
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