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確か隣りの席に座る三井さんが言っていた
あの豆粒の様に小さく写っていた画像を引き伸ばした写真をデスクに置き、撫で撫でしながら言っていた
きっと関川部長はツンデレなんだと…
きっと恋人にだけはめちゃくちゃ優しくて甘~い言葉を囁くのよって…
ロビーで部下を怒鳴り散らす姿を見た話をした後に言っていた
そんな人間らしい感情があるのだろうか
有り得ないと思っていたら、本当に有り得ないことだったらしい
そもそも、私が関川部長の好きな人な訳は無いのだから、本当に好きな相手には優しくするのか…
よく分からないのだけれど…
私はあの日胸ぐらを掴まれて叱られていた社員と同じように鋭く睨まれている
顔の距離もたぶん同じくらい
身長の差を埋めるようにわざわざ少し体を曲げている
一つだけ違っているところは最初の言葉を発した後、黙ったままでいるところだけ …
私の両肩の少し上の壁に付いた両手のうちの右手はトントンと壁を指で叩いている
苛々した様子で…
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