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二十歳へと成長した美少年桃太郎。
晴れて成人する為に、海の向こうの鬼ヶ島へ向けて鬼退治へと出発しました。
暫く歩くと一人の男が現れました。
「お前があの噂の桃太郎か?」
桃太郎の美青年ぶりは野山の向こうまで轟く程でしたので、この男が知っていてもおかしくありません。
「俺は乾(イヌイ)。
吉備団子を喰わせてくれたら、鬼退治に付き合ってもいいぜ」
しかし、桃太郎は吉備団子など持っていません。
「――私、吉備団子持ってません」
「持ってるだろ?
可愛いのを――」
そういって乾は桃太郎の着物を剥ぎ取ると、下半身に付いた桃太郎の吉備団子をくわえました。
「あっ…あんっ…」
「なかなか美味いじゃないか」
「やんっ…それっ…
ちがっ――…」
「本物の吉備団子より
よっぽど美味いぜ?」
「あっ…ホントにっ…?
あんっ…
食べ終わったらっ――
鬼退治に…んっ…!
着いてきて…
っ…くれる…?」
乾がゆっくりと時間をかけてそれを味わうと、漸く満足げに顔を上げて言いました。
「行ってやるぜ、
鬼退治」
こうして一人、
桃太郎は仲間を手に入れました。
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