ラストクリスマス

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 “クリスマス”。今の僕にとって意味の無い行事。  僕は今年の春までは、普通の家の一人息子だった。 会社員の父に、専業主婦の母。 極普通の家だったけど、今思えばとても幸せだった。  ところがある日の事。 父と母は二人で外出していた。 僕は“デート”という感覚で二人を見送った。 でも……二人は帰って来なかった。  突然病院から家に電話がかかってきた。“病院にすぐに来るように”とだけ言われた。その病院は家から歩いて数分の距離にあるところで、僕は息の続く限り走った。 そして病院について僕が見たのは、二人の遺体。 交通事故だそうだ。 僕はその真実を受け入れられず、涙さえ出てこなかった。葬儀でも。 おかげで僕の事を引き取ってくれる親戚はいなかった。  僕はしばらく父の貯金で生活していたが、やはりそれだけでは無理がある。  働こうにも、僕はまだ未成年だ。大した足しにはならない。  結局家は、ローンが払えず問答無用で差し押さえられてしまった。 こうして僕は早くもホームレスとなってしまった。 今は段ボールとタオルで作った簡単な家を公園の端っこの方に置いて住んでいる。  そんな僕に、ケーキを買うお金も、プレゼントをくれる人もまして買う事もあるはずがなくて。僕にとって冬なんてただ寒いだけの存在になってしまった。 .
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