イギリス:ロンドン郊外

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巧は少しの間、何も喋らなかった。しばらくして、 「そうか……」 と、短く言ったきりだ。 「じゃあ、もう写真撮らなくて良いな?」俺は言った。 「…あぁ」 「あと二日ぐらいしたら、日本に帰るから」 「…なんか、来てすぐに帰るような感じだな」 「いいんだよ。早く帰りたいから」 「わかった…じゃあ、もう切るな」 「あぁ」 電話は切られた。 巧に酷いことを言ったのはわかっている。巧にだって苦悩があるのはわかっているはずだったのに。 でも、こんな風にふらふらと生きている自分を思うと、どうしようもなく空しく、寂しくなるのだ。
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