出会い

2/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
嫌になるほど青く澄み渡った空を見ながら、如月ジュンはため息をつく。 遠くからは楽しそうな子供の声や、鳥の囀りが聞こえる。 ジュンにとってその音は、とても不愉快なものに感じた。 だが、何故だかは分からない。 ―何がそんなに気に入らないのだろうか… そんなことを考えていると自分の足にボールがこつんと当たる。 子供はジュンの顔をじっと見て、少し怯えた様子で声を掛ける。 「…お姉さん…ボール、取ってください!」 ジュンはその言葉を聞くと、自分の足元にあるボールを拾うと自分の近くに寄ってきた子供に手渡した。 「お姉さん、ありがとう!」 子供はニコッとジュンに笑顔を向け、再び遊び始める。 笑顔を向けられたジュンは少し複雑な気持ちになる。 「何が嬉しいんだ…」 ぽつりと言葉が漏れる。 何故、簡単に笑顔を人に向けることができるのだろう… ジュンは遊んでいる子供の姿を見てふと、そう思う。 ―待て、私は今何を考えた? 自分が何を考えていたのか、思い出せない。 考えに耽っていると、不意に後ろから声を掛けられた。 「そこのお嬢さん。一人で何してるの?暇だったら俺と遊ばない?」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!