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嫌になるほど青く澄み渡った空を見ながら、如月ジュンはため息をつく。
遠くからは楽しそうな子供の声や、鳥の囀りが聞こえる。
ジュンにとってその音は、とても不愉快なものに感じた。
だが、何故だかは分からない。
―何がそんなに気に入らないのだろうか…
そんなことを考えていると自分の足にボールがこつんと当たる。
子供はジュンの顔をじっと見て、少し怯えた様子で声を掛ける。
「…お姉さん…ボール、取ってください!」
ジュンはその言葉を聞くと、自分の足元にあるボールを拾うと自分の近くに寄ってきた子供に手渡した。
「お姉さん、ありがとう!」
子供はニコッとジュンに笑顔を向け、再び遊び始める。
笑顔を向けられたジュンは少し複雑な気持ちになる。
「何が嬉しいんだ…」
ぽつりと言葉が漏れる。
何故、簡単に笑顔を人に向けることができるのだろう…
ジュンは遊んでいる子供の姿を見てふと、そう思う。
―待て、私は今何を考えた?
自分が何を考えていたのか、思い出せない。
考えに耽っていると、不意に後ろから声を掛けられた。
「そこのお嬢さん。一人で何してるの?暇だったら俺と遊ばない?」
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