別荘

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「それは俺ちゃんの親戚がこの富良野に別荘持っててパーティーするって言って貸して貰ったの!…せっかくのクリスマスを騒がしい都会より静かな別荘で過ごすのもいいと思ってね…」 後部座席の中心にいる渋谷は晃司違ってご機嫌だった。渋谷の親戚には様々な業界の人がいて、複数の別荘を所有する知り合いに貸して貰ったのだった。 「すいません…なんか僕まで誘っていただいてありがとう御座います」 毎年、仕事でクリスマスを過ごしていた高坂も今年は有給で休みをとり同行していた。 久々に仕事以外でクリスマスを過ごせる高坂は戸惑っていた。 今回の北海道旅行の主役である晃司が不機嫌なので来ては行けなかったと思っていた。 「高ちゃんは毎日野獣の世話で頑張ってるから休暇は無礼講って事で楽しまないと…!」 そこに渋谷はいつもの疲れを取って貰おうと思い、叔父さんに頼んで休暇を取っていた。 「そうですね…せっかくだから楽しみますよ…」 渋谷の言葉に元気付けられた高坂はこの旅行を楽しもうと思った。 「まったく人を野獣扱いしやがって…」 後ろで騒いでる2人に更に不機嫌さを増したは愚痴をこぼす。 「その通りだろ?…」 愚痴を零す子供ぽい晃司に泉はダメ出しをした。 真っ白に重ね塗られた様に雪の積もった山林を眺める。 暫くして、宿泊する別荘に着いた。 別荘は木造のウッドハウスと呼ばれる建物だった。木造の外観とは違い、内装は普通の家の構造に造られていて生活に最適な環境だった。 暖炉に複数の部屋もあり、突然の来客にも対応できる様になっていた。 「あーあ、京さんも来たら良かったのにな…」 ほんとなら4人だけではなかったはずなのだが…渋谷の彼女の京にも声をかけたが、断られてしまった。 仕方なく男4人での旅行になってしまい、渋谷はがっかりしていた。
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