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別荘
毎年、12月には特別なイベントがある。
冬の訪れた街には色鮮やかなイルミネーションが飾られている。
そう、クリスマスの季節がやってきた。
24日クリスマス・イブとは年に一度の祝祭。
ちなみに25日はキリストの降誕祭である。
そして…ここにも同じく誕生日を迎える男がいた。
降り止まない雪が積もる山林の雪道を一面のホワイトカラーに溶け込む様な同色のボディで地面を覆う積雪の上を難なくは走る一台の4WDが走る。
元々は米軍事用車だったが民間利用車として製造されたハマー(HANMR=ハンマーと喚ばれる)。
「すげぇー、こんなに積もってんのはじめてみた!」
窓から見える白銀の世界に子供のように瞳を輝かせて声をあげる泉。
「北海道は雪国だから毎年これ位普通なんだよ…」
初めての北海道に喜ぶ泉の様子に晃司は前方に視線を向けて、ハンドルを握りながら不機嫌に応えた。
「さっきからなんか怒ってないか?」
先ほどから機嫌の悪い晃司に気付いた泉は振り向いて、声をかける。
東京を立つから今に至るまで機嫌が悪い。
その原因は分かっていた。
「そりゃあ、一週間のオフ利用して北海道旅行ってたのに…なんでコイツらがついてくんだ!」
サイドミラーを見つめる晃司は原因の人物を見つめてため息を吐いた。その人物は渋谷とマネージャー高坂の2人が後部座席に乗っていたからだ。
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