第弐章

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「分かったわ。ありがとう」 「ありがとう」 「いえ。お気をつけて行ってらっしゃいませ」 レンがお礼を言うのを見てセラフもお礼を言うと、女性職員は二人よりも丁寧に頭を下げてセラフとレンを見送る。女性職員に見送られギルドから出たセラフとレンは夕暮れ色に染まり始めた町並みをゆっくりと歩く。 「今日は家に帰って依頼者のところに行くのは明日にしましょうか」 セラフとしてはこのまま次の依頼を開始したいところでもあったが、隣町の場所も依頼者の居場所も(文字で書かれている為)分からないので了承する。 「そうだな――あっ!!じゃあさ、露天商のいる通りに行こうぜ!!」 「何か欲しいものでもあるの?」 「ある!!あの『鼻眼鏡』が欲し――っ!?」 セラフは言い掛けた言葉を飲み込む。それはレンの表情があの時の殺人鬼に変貌を遂げようとしていたからだ。 「セラフ?あんた……その為に手元に三千タポ残しておいたのね?」 「あ、いや、そんな事は――ごめんなさい!!」 「あっ!!待ちなさい!!」 夕飯の買い物をする為に外出している主婦達の間をセラフとレンは駆け抜ける。そんな二人の表情は笑顔で、傍目からは楽しそうに見えたそうな。
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