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「彰弥くんがちょうど来るとか…ないかなぁ。」
義貴先輩と椿が行ったのをちょっと遠目で見て、私も歩き始めた。
「蓮華、おはようございます。」
下を向いて歩いていると、横から声がして、急いで振り向く。
「彰弥くん、おはよう!」
ちょうど来ないかな…と思っていた時に来たから、嬉しくてテンションが上がる。
「元気ですね。」
「いや、ちょっとね。侑弥くんは?」
「侑弥なら珍しく先に行きましたよ。」
「そっかぁ。椿も、義貴先輩と先に学校行ったんだ。」
彰弥くんと通学路を話しながら歩く。たったそれだけのことなのに、夢みたいで…すごく幸せ。
門の前に着くと、前にも見たことのある豪華な車があった。
あのお車は…。
運転席から出てきたのは、晋太郎さん。
慣れたように素早く後部座席のドアを開けていた。
「いってらっしゃいませ。」
「ありがとうございます、晋太郎さん。いってきます。」
晋太郎さんに微笑んで出てきたのは、亜紀だ。
亜紀は晋太郎さんの顔を真っすぐ見て、言っている。
まだ想いは伝わってないみたいだけど、少しだけ距離が近付いているみたいで、嬉しくなった。
亜紀の後に、麻紀さんが車から降り、晋太郎さんは2人に一礼をして、2人が登校するのを見守っていた。
「蓮華?なんでさっきから立ち止まったままなんですか?」
「え?ううん。何でもない。行こっか。」
亜紀と麻紀さんと晋太郎さんのやり取りを見終わり、校門を通った。
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