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「あれ、さっきまで着てた制服は?」
シャワーを浴びた後、濡れた髪をタオルで拭いながら新品の制服に身を包んだ俺は、ずぶ濡れとなった元相棒を探す。
「あちらは痛んでおりましたので処分させて頂きました。何かありましたか?」
「い、いや!見当たらないから、ちょっと気になっただけだから、大丈夫…」
馨が申し訳なく反応してくる様子に過剰反応で返していることを自覚しながらも、慌しいこの態度は変えられなかった。
変に気にしてしまった後だからか、意識が敏感になってるな。
とはいえ制裁らしきものを受けた後だから、馨もあまり気にしないだろうとポジティブに考える。
実際、馨もより一層心配そうに眉を潜めるだけだったので万事OKだろ。
まぁ、過保護とも言えるけどね。
「早速で申し訳ないのですが、どういった経緯であのような場所へと呼び出されたのでしょうか?」
「え、それは……」
「今回の事件の首謀者は退学が決定しています。彼との間に何らかの不都合があったとしても、もう心配はございませんから」
俺の心情をいち早く悟った馨は、俺が言いやすいようにフォローを入れてくれる。
そんな些細な気遣いにすら安心感を覚える俺。
今なら、あの手紙の話題を出しても問題が無いんだよな?
「実は――――」
それから俺は昨夜に見つけた白い封筒のこと、それが何処に挟まっていたのか、そして赤い印の付けられた写真について馨に打ち明けた。
口にした後は終わったことだからか、随分と気持ちが穏やかになった。
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