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教室に入ると同時に欠伸が出た。すぐ隣で、おはよーという声が聞こえたが、脳内変換で、オハイオにしか聞こえなかった。寝ぼけ眼で白昼夢を見てしまっていて、目の前に見たこともないアメリカのオハイオ州が広がった。
「アイダホ~♪」
と呟いてみて、それが現実に自分が発した声だと気づき、はっとして辺りを見回す。声をかけてくれたのは誰だっけ?今の声、誰かに聞かれた??見渡せど、こちらを気にしているような人は見当たらない。
聞こえてなければ、それで良し。しかし、自分の変調に気づく人もいないのだろうか。そう考えると、少し悲しくなってしまう。
「おはよー」
クラスメイトが挨拶してくれて、今度こそ真琴の耳にも理解出来る挨拶を受けた。おはよ~、返し再び大きな欠伸が出てしまった。
「あっはは、でっかい欠伸。いつもマコちゃんは、ぽけっとしてるよねぇ。」
………え?
正直、心外だった。私はしっかりしている(つもり)だし、教室では周りの目を気にしている(つもり)だし、ドジしたって、ちゃんと自分でフォローしている(つもり)だった。
しかし、現実は自分の評価と周りの評価が異なっていることに、薄々は感づいていた。しかし、それが嫌で、気を張っていたのに…。真逆のことを言われると、少しへこんでしてしまう。
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