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未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「家庭/近所/職場のモヤモヤ」

大賞

15年前からは想像できないほどの美人になって、目の前に現れた元同級生。平穏を突然脅かす侵入者の演出が冴えていました。夫との関係が冷えている主人公は我が身を嘆きます。身近な相手と比べて自分の幸福度を測定してしまう悲しさにリアリティがあります。マウントしあう人間ドラマに加えて、謎の怪異現象がサスペンスを高めています。旧友のはずなのに得体のしれない隣人の正体を一刻も早く知りたくなりました。

準大賞

凛子と小姑との果てしないバトルです。しかも、彼女は若者がほぼいない過疎地の家に入りました。年齢が近い女性同士で仲良くやれれば幸せでしたが、小姑の気持ちが反転して敵意を向けてきます。家族という最小単位のコミュニティにおいて、分断とヘイトが生じるジレンマをコミカルな視点を交えながら描いています。村の古い価値観も彼女を縛る。当の凛子自身も、なぜ醜い思いが湧くのかと悩む姿が、作品のテーマ性を深めていました。

入賞

バイト先の掴みどころのない副店長にモヤモヤする女子大生の咲。チャラいようで真面目。マイペースに見えて、人に優しい。咲が反抗しても、いつのまにか相手のペースになっている展開が愉しいです。登場するキャラクター同士、それぞれの名前の呼び方でお互いの距離を感じとれる見せ方が上手い。また台詞と地の文の配分が絶妙で、スルスルと読み進められます。咲と副店長以外にも、複数のキャラの恋の行方を見守りたくなる作品でした。
人にどう見られるかに執着する美和子。できるだけハイクラスの人間として振る舞いたいため、生活レベルの違う相手を見下します。相手は経済的に苦しいはずだと決めつける彼女の心は、自身の家計や夫への不満や不安の裏返しでしょう。雑談中でも気が抜けず、人の言葉の裏を考えてしまう。現実より、自分の妄想を優先してしまう人間の弱さが伝わってきます。端正な文章により、つねに他者との比較で生きる寂しさが表現されていました。
無職で毎日飲んだくれているのに、周囲から妙に頼られるあき。奥さんと通話しながら居酒屋で飲む客などキャラクターが個性的に造形されています。また「シンクに落ちた亡きラーメンのような」に代表される独特のユニークな比喩表現も味わい深いです。のほほんとした酔っぱらいの日常が続く話かと見せて、のっぴきならない事件に首を突っ込むあき。元教師の彼女には見過ごせない問題に向き合う姿が凛々しい物語です。
異国の地で豪邸暮らし。でも、住宅地の庭に毒蛇やヒアリが出る環境。スキを見せれば、使用人が雇い主を侮ってくる。たとえ日本の“ふつう”を主張しても通用しない異文化圏。実体験を基にしているので、服装や食べ物、現地の習慣などが細部まで丹念に描かれています。ヒロインの心情描写にも迫真性がありました。「これがいまの現実だ」とカルチャーギャップを受け入れ、ときには毅然とふるまうヒロインが魅力的です。
各キャラの距離感を台詞でうまく表しています。唯我独尊で、家庭内で好きに生きてきた父親。子供である姉弟は成長するにつれて、対照的なスタンスをとります。ギスギスした空気を表面化させない日常のやり取りに臨場感がありました。でも、父の葬儀で、覆い隠してきたものが噴出する。家族だから他人よりも許せない。家族の絆には正解がない。でも、冷たく突き放したり、関係を断てないモヤモヤ感が濃厚に描かれていました。

佳作

恋愛、新人としての仕事、思う通りにいかない現実……。諸々の要素の言い募り方が秀逸です。短いセンテンスの積み重ねで、読み手の胸に訴えかけてきます。やりたいことができているか。なりたい自分になれているか。振り返る間もなく、更新されていく毎日。そんな中、たった1人との出会いが人生に彩りと潤いを与えてくれます。チャラく見えて誠実であるなど登場人物が多面的に造形されているのもドラマに厚みを加えていました。
制服警官の日常業務が淡々と描かれています。にもかかわらず、丁寧な描写の積み重ねによって、読者も現場にいるようなライブ感があります。警察官同士で交わされる会話に、専門用語や符丁が巧みに散りばめられています。主人公は、刑事を志す同期たちのように明確な夢や欲望を抱いてはいません。でも、警察官としてやりがいを感じ、職務を全うする覚悟を持っている。そんな彼の行く末を見守りたくなる作品でした。
モノローグ調の文体がとても読みやすいです。非正規で働き、モラハラ気質の夫をもつヒロイン。業務としてオフィス近くの観音様のお世話をする際に、本音を吐露しています。いつも願うのは、3ヶ月更新の成立。おっとりして控えめな女性の日常から、後半にストーリーの熱量が上昇していくのは痛快です。受け身の人生から脱却しようと、自分の適職を探してチャレンジする。エモーションが揺さぶられ、読み手の胸に響きました。
親友の自殺に対する自責の念で身動きが取れない看護助手、理英。自らを罰するような無味乾燥な日々が綴られています。話したくないのに職場でコミュニケーションを求められる。普通が何なのかわからないまま普通でいようとする苦しさ。答えの出ない、空を掴むような、まさにモヤモヤが読み手に伝わってきます。そして医療従事者を追い詰めるペイシェントハラスメント。彼女が忍耐の限界を超える場面は鬼気迫るものがありました。
センセーショナルなタイトルです。劇中で高校生のヒロインが場面を目撃するシーンも衝撃的に描かれています。物心ついたときから「間が悪い」という彼女の設定が非常に面白く機能していました。また母親と彼氏のキスの真相を確かめる気にならない心情も納得度が高いです。2人だけの家族でお互いに支え合ってきたゆえの葛藤が伝わってきました。各ページの末尾を余韻を残す一文で締めているのも粋な演出です。
ポップでオフビートな会話がとても印象的な作品です。劇中でも言及されているように「なんでも言いあえる仲」の素晴らしさが伝わります。北海道の自然や食材なども世界観を素敵に彩っています。一見、ファンキーな恋愛ストーリーに見えて、その土台となる設定が骨太のため、ガッシリした読み応えを与えてくれました。キャラクターたちが主人公に憎まれ口を叩いても、根底に愛情を感じます。温かいコミュニティが築けていました。
上の階に引っ越してきた住人が中学時代の元同級生。“公園デビュー”に失敗し、疎外感を抱いていた主人公はママ友ができて喜びます。しかし、次第にコミュニケーションのモヤモヤが募っていく。ささいなすれ違いが少しずつ心を侵食していくプロセスにリアリティがありました。天候、気温、湿度、風などを主人公の気持ちの変化とリンクさせています。構成にムダがなく、ストレートに物語を進めています。読了後に多幸感の湧く作品でした。
ピュアな2人の織りなすストーリーが爽やかに楽しめます。日常の職場描写が具体的で、丁寧に構築されています。経理の谷川は、檜山が気になるけれど、ツンデレっぽい面を見せる。一方、営業の檜山は天然で陽気だが、谷川にだけ見せる一面がある。どちらも初々しさがあり、読んでいてエールを送りたくなります。就活面接での素敵な出会いも印象的でした。今後、2人の秘めた想いがどのように交錯するのか楽しみです。
複数のトピックが同時多発的に進行し、交錯しながら進むストーリーです。目を引くのは“マカロン戦争”。主人公・智恵の家業の洋菓子店と、元カレの文具店との間で勃発。時代の逆風にさらされる商店会で繰り広げられるのは世相を反映しています。新キャラが登場する際に、智恵と絡んだユニークエピソードも紹介されるので、個性が伝わりやすいです。次々とめまぐるしく物語が展開していくテンポの良さもありました。
ヒロインの心の叫びが胸にまで響ききそうな作品です。仕事外し、パワハラ、手柄の横取りなどの先輩による理不尽な仕打ち。周囲にわからないように行う陰湿さ。そんな状況下で、ヒロインは不当な扱いを健気に、ひたすら受け止めます。支えてくれる人の存在も丁寧に描いています。彼女と読者の気持ちが同時にせり上がっていく構成が見事でした。冒頭で明示される不穏なシーンにどうつながっていくのか。最後までハラハラしました。
ささいな疑問だけど、気になって仕方がない。主人公の村沢の場合は、新人の成井の左眉がないこと。彼以外の人間が気づいていないため、不可思議さを“マシマシ”にしています。でも、センシティブな問題なので、直接本人には訊けない。まさにモヤモヤ案件です。文章は軽やかな語り口で、滑らかに読み進められます。見えない左眉の謎を導線として、村沢とさやかの恋愛ストーリーが楽しめる秀逸な構成でした。
整っていて、美しい文章です。第一子を出産したのに奈落の底に突き落とされる沙弓。夫が覚醒剤を使用し、警察の監視下にいた。そして不倫という裏切り……。昨日まで信じていた世界が瓦解する恐ろしさを畳み掛ける構成が上手いです。周囲の人間がひたすら自己保身に走り、甘い言葉をかけてくる姿は別の恐怖があります。でも、母親になり、守る相手ができたことで強くなる沙弓。力強いメッセージが込められた作品でした。
独特のテイストで、エネルギッシュな文体です。はじまりは緊急事態宣言下のハンバーガーショップ。27歳の男女が同僚の結婚について語るうちに、話題は人生観にまで盛り上がっていきます。それほど親しい相手ではなかったのに、いつのまにか自己開示して、お互いを求めあっていく。ハイテンションのジョークの応酬の中に、本音の垣間見える会話が圧巻です。いままでの見方を変えれば、人生は一瞬で変わると信じさせてくれる作品でした。
募集概要
良い作品を執筆したい!というあなたの気持ちをエブリスタが応援します! 「未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン」!! 【コンテストの特徴】 執筆意欲を応援するために、3つの特典をご用意しました! ・優秀15作品以上に、作品へのアドバイス ・大賞受賞者には、キングジム社の「pomera DM200」をプレゼント ・準大賞作品以上は完結後に、「完結作品特集」へ掲載 【こんな方にオススメ!】 書きかけの作品、眠っていませんか?  書きかけの作品も積極的に応援します!  眠っている作品、構想段階の作品でも、どしどしご応募ください! 昔書いた作品、アイディアはいいと思うんだけどなあ……  このコンテストに応募すれば、さらに良い作品にできるかも!?  ぜひ昔の作品にもう一度光を当ててみてください! どんな風に続きを書くか迷ったときは、こちらの記事を参考にしてみてください。 書きたい気持ちに火がつくメディア monokaki(創作ハウツー)
募集テーマ
第25回目のテーマは「家庭/近所/職場のモヤモヤ」です。
・姑はよく使い古しの服やおもちゃを持ってくる。好意だからこそ、いらないとは言いにくくて困る…… ・仲良しのママ友がリーダー格になった途端、マウントをとるような発言が増えてきた…… ・美人で要領のいい同僚。仕事ができると評判だけど、ミスをカバーするのはいつも私。そんな彼女が、大きなミスをして?
など、「家庭/近所/職場のモヤモヤ」の要素が登場する小説を募集します。 次から次へとページをめくってしまうような、続きが気になるお話をお待ちしております!
スケジュール
・募集期間:2020年12月7日(月) 12:00:00 ~ 2021年2月7日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2021年4月中旬頃予定
賞
大賞 1作品 ・賞金3万円 ・作品へのアドバイス ・キングジム社「pomera DM200」をプレゼント ・完結後に特集掲載※ 準大賞 1作品 ・賞金2万円 ・作品へのアドバイス ・完結後に特集掲載※ 入賞 5作品 ・賞金1万円 ・作品へのアドバイス 佳作 10作品以上 ・作品へのアドバイス
大賞の方にプレゼント!
※ 特集掲載は、受賞から半年以内に完結した作品を対象とさせていただきます(投稿時に完結している作品も含まれます)。完結後、受賞連絡時にお伝えする宛先へご連絡ください。ご連絡を頂けなかった場合は、特集掲載できない場合がございます。 ※ 大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は20,000文字以上 ・20,000文字まで読んで選考、作品へのアドバイスをいたします。 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。
注意事項
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コンテストの注意事項(必読)