その女性型アンドロイドは、マスターである遠矢に、ダフネと名付けられた。始めは幼稚園児並の知識と情動しかなかった彼女は、遠矢に導かれたちまち大人になっていく。ダフネは成長する中で、遠矢に対して恋のような気持ちを覚えていく。そしてある時彼女は、なぜ自分が彼の元に行くことになったのかを知り、大きなショックを受ける。さらにダフネ自身にも、自分でも知らない秘密が隠されており……。永遠の命が描いていくSF物語。

世界に精神疾患が蔓延していた。それは誰もが持つ〝殺人因子α〟によって引き起こされるもので、感情が傾くことにより、唐突に殺人衝動に駆られてしまう。だから皆、感情が傾くことを恐れている。そんな世界で、マサトは紛争地帯の医療従事に行くため、1日に1駅しか止まらない電車に乗っていた。そこで起きた事件をミサと名乗る女性と共に解決に向かうと、両親と離れ離れになった少女・アリスに出会い――。感情と旅のSF譚。

美術部部長の「私」が、教員室は怖いと宣う校内引きこもりである顧問の非常勤講師・夏目に、夏合宿について伝えると「流行り病の影響で学校から許可が下りんでしょう」と言われる。夏目は「私」からは都合の悪いことはすぐ学校のせいにする人に見える。また一方で彼女の目から見た部長の姿が語られていく、2人の他愛無い話が繰り返され、小さな女子校での毎日が過ぎていく――。女子高生と教師の「今」がリアルな息遣いで語られる青春ドラマ。

花菜は4歳の時、母の再婚により生活環境が代わり、有という義兄ができた。しかし有は手癖が悪く、また花菜とトラブルを起こし家から消えてしまう。時が過ぎ、花菜は高校生になる。彼女には真由という友人が出来ており、その真由の双子の弟・宗太には真凜という年上の彼女がいた。友人らと過ごす日々の中、ある時真凜が事故にあい、それには意外な人物が関係しており花菜の生活は一変する――。変わりゆく日々の中で生きていく少女の物語。

心音は、大学2年生になったばかりのある日、同じ創作の講義を受けていた香月に話しかけられた。彼に小説を書く仲間が欲しいと言われ、心音もそう思っていたこともあり、自己紹介から創作についてまで、楽しく会話し時間があっという間に過ぎていった。それから2人はどんどん仲良くなっていく。そんな中、心音の友人の桜花が、香月との関係について尋ねて来た――。恋って一体どういうものなの？と問いかけられる青春物語。

気象予報研究会に所属する「僕」は、自分に懐いている後輩・メグのことが気になっているが、彼女は「僕」の同期である翼と付き合っている。ある日「僕」はメグに、翼と知らない女性が一軒家に入っていく写真を見せられる。これは浮気ではないかと言われ「僕」が調査を始めると、翼はそれは妹だと言う。しかし翼に妹はいないはずだった。更に突き詰めると、そこには驚くべき事実が待っていて――。複雑な関係が織りなす恋愛コメディ。

アリサは、戦前の物資を漁りくず鉄を拾って生きる糧を得ているスカベンジャーと呼ばれる者の1人である。スカベンジャーは差別される立場であり、まだ少女のアリサは過酷な状況の中でなんとか生き抜いていた。時折父親の面影を追いかけ、愛用の散弾槍を手に、荒野と廃墟の中を彷徨い、出会いと別れを繰り返していく。滅びてしまった世界に、アリサはなにを見出すのか……。乾いた筆致で語られていく、ポストアポカリプス・ストーリー。

神官の少年・アララギは、境内に朧な少女の姿を見つけた。宮司にそれについて聞くと、「香神木の御霊」であるという。やがて宮司が逝き、一人になったアララギが、自分を育ててくれた宮司に恩返しをしようと、妖退治にのめり込むようになる。その鬼気迫る様子を見て、里人は彼から離れていった。そんな彼を御霊が救い、彼は一人ぼっちではなくなったが、アララギは彼女への想いから過ちを犯す――。人と人ならざる者の、思慕と執着の物語。

23歳のOL・真琴の住むアパートの、隣の部屋が火を出して、帰るところがなくなってしまった。呆然としている彼女の前に現れた幼馴染・奏に、次の家がみつかるまでウチで預かると言われる。奏は容姿端麗で勤勉実直の完璧超人と世間では言われているが、彼を嫌っている真琴は徹底的に突き放す。しかし彼には、笑顔で彼女を追ってくる粘着質なところがあって……。ストーカー系スパダリとツンデレ強気ヒロインの、甘々ラブコメディ！

遠海真姫は、交通事故で母を失い、脚に障害を残して声を失った。彼女は人を寄せ付けないため、〝冷淡少女〟と呼ばれ、周囲から敬遠されている。そんな彼女の前に、白川雪斗という美青年転校生が現れる。勉強も学校も嫌い、よろしくしたくはないけど一応よろしく、などと強烈な自己紹介をした雪斗は、真姫に「俺と一緒じゃん」と言い、何かと共にいるようになる。そんな彼に真姫は――。無器用で優しい、学園純愛ストーリー。

雷の町”鈴和”には、数人の超能力者がおり、お互いを牽制し合っていた。曳橋落夢も絶対的な催眠能力を持っていたが、それを行使することはなく、地下室に引きこもっている。そうして世界を拒絶していたところを、元アイドルで正義感の強い少女・宙野楓に引っ張り出される。彼女は曳橋に、人間の言葉を話せない子供を見つけたので、原因と解決法を究明してほしいと頼み――。最強の彼と彼女の青春超能力ミステリー。

高校生男子の蓬木朝菊は土砂降りの中で怪物に襲われる。そこを桃子という少女に助けられるが逃げ切れず殺されてしまう――が植物に覆われ復活を遂げる。なんとか家に戻ると両親が殺され、2人いる妹の1人が消えていた。そこに桃子が現れ、彼らを襲ったのは天鬼という化け物でそれを放っておくと3年以内に世界は崩壊すると言った。朝菊は天鬼と運命に打ち勝つため“気象師”となることを決意する――。ダブル主人公青春バトルストーリー！

大学生の刑部八郎はある日、夢の中で小野篁に出会う。篁は、八郎が13年前禁足の地に踏み入って血を流したことで封印が解け、言霊が逃げ出した、それは長らく大人しくしていたが、この1年で出現が見られる様になっていると言う。実はもう、八郎の憧れの人・環奈の協力で言霊蒐集は始まっており、篁は八郎にも協力を求めてきた。そして八郎と環奈たちの、和歌を巡る不思議な物語が始まる――。百人一首現代ファンタジー。

林立するビルの間、小道を一歩入ったところにある「カフェ・ロビンソン」。そこでは、清潔感のあるイケメンウェイター・柊真、色白ショートカットの女子高生ウェイトレス・花梨、そして小説家を副業にしている和風美人の店長・マリが待っている。マリには魔法の様に人の心を癒やす力と、謎を解き明かす力があり、痛みや悩みを背負った人の抱える問題を解決していく――。都会のカフェを舞台に繰り広げられるライトミステリー。

主人公が公園で『ミステリの女王』の著作を読んでいると、老人に頼み事をされる。老人は中学生くらいの女の子を連れてきて、自分の姉が自殺したとされる、2年前の離れ小島で起きた事件の真相を調べてくれと少女に言われる。そして彼は許可を得てインターネット掲示板にスレを立て、そこに女の子の姉が残した日記の内容を晒す。すると謎好き達がこぞって推理を始めた。彼らが辿り着いた真実は意外なもので……。本格派ミステリー！

死神と名乗るドクロの仮面を付けた男が、いじめをしていた者たちを、復讐の代行者として苦痛を与えた上で惨殺する事件が続いていた。捜査一課の刑事・仁科たちが事件を追うと、【復讐代行】という名のウェブサイトに書き込まれた依頼が実行されていることが判明する。仁科たちはサイトの管理者を探し出し、死神の正体を追うが、その間にも次々いじめを行った者たちは殺されていく――。死神の正体とその真意は？復讐劇ミステリー。

堀川尚樹が営むBARに、夫婦の新規客がやってきた。彼らは長澤信彦、照美と言い、それからも店にやってくるようになる。そしてある日、BARの常連客の三島に、長澤夫妻に昼間会った後、死に別れた妻に会ったと言われ、その後尚樹の周りでも不思議なことが起き始める。それについて長澤夫妻に尋ねると、尚樹はある才能を持っているので、それを活かして酒好きの霊たちの話を聞いてもらえないかと頼まれるのだった――。心霊BARストーリー。

帝都の陰間茶屋に「御百度姫」「舞わずの太夫」と呼ばれる、夜鷹という源氏名の伝説的な高級陰間がいた。百夜、しかも毎回一夜分買い切りで通い続けなければ彼と床入りできないとされる。そんな夜鷹のところに、周という名の資産家がやってきて、全てを承知した上で百夜通うと言った。そして彼との夜が語られていく。過ぎていく日々の中で、2人の距離は僅かずつだが近くなっていく。そして百夜後に、何かが起こる――。明治遊郭BL物語。

知希は弟になりかけた事があった。小学五年生の時、桐人という名の同い年の息子がいる男と母が再婚寸前までいったからだった。その話はご破産になり、気が合った知希と桐人は親が別れた後も交流を持つが、自然と疎遠になった。やがて高校生になり、再会する二人。知希にとって、一度兄弟になりかけた桐人は特別な存在で、その思いは好きという気持ちに変わっていく。しかし、桐人の友人・高橋には鋭い視線を向けられ――。眩く切ない高校生BL。

シロイルカと抱きつく少女、彼女らに溢れんばかりの幸せを――。癒されるイラスト！

藤の花飾りを付けたメイドの希うような視線の先は……。心掴まれる美麗イラスト！