双子の末子として生まれた麗華は、忌み子とされ市井に捨てられた。それでも預けられた先の老師に愛情を注がれ、星読みを覚え、ふたりで薬売りの店を切り盛りするささやかだが幸せな生活を送る。彼女は薬草を求めて訪れた草原で罪なくして追われている少年に出会い、彼の逃走の手助けをする。5年後、麗華の元に彼女を捨てた父からの手紙が届けられ、運命の歯車は大きく動き始めるのだった――。後宮シンデレラストーリー。

冥府の神である「私」は何者かに殺された。「私」は不死者であり死んでも生き返るが、それでも死は恐ろしく辛い。そんな「私」を殺した者は、共に暮らしている数名の人間と一匹の使い魔の中にいるはずだった。「私」は容疑者たちに問いかけて真実を探していく。死神執事、死を纏うメイド、忠実なかわいらしい魔獣、彼らの中の誰かが嘘をついている。犯人はなぜ不死者を殺したのか――。冥府が舞台のフーダニット・ミステリー。

自分を「世界一可愛い」という依田結花は、経済的に恵まれた家に生まれ、子供の頃からちやほやされて育った。そして努力をせず大学を卒業、22歳で自分に夢中になっていた4つ年上のローカルスーパー経営者の息子・依田悠真と結婚した。それから10数年が過ぎ37歳になった今、中学生の娘との仲は悪く、仕事中に夫が倒れてしまう。それをきっかけに、離婚されて当然の隠してきた悪行が明らかになって――。クズヒロインの人生ドラマ。

村田洋平は、父親の過酷な虐待から弟を守りきれず、死なせたことを後悔し続けている。繁華街で恐喝の獲物を探していると、暴力団に襲われていた個人売春をしている少女・笹森美咲を見つける。洋平は彼女に弟の姿を重ねて助け、美咲の家で共に暮らすことに。しかし、警察や司法に強い恨みを持つ男・金井秀人が二人に利用価値を見出して近づいていく。過去や生い立ちに縛られた三人が邂逅し、彼らの人生は大きく動き始める――。ダークヒューマンドラマ。

人類が銀河帝国に加盟し、平和と繁栄を謳歌している時代。ひとりの少年が、宇宙船の乗組員を探していた。彼は一級の免許を持った航宙士、元一等機関士ら、自分が見込んだ腕の立つ者を集めて、宇宙船での危険な旅に向かう仲間になることを求める。正式な船長の資格を持っておらず、あるのは船と、目的と、度胸と、そこそこの金だけという。集められた者たちは、それぞれの想いで未知への旅に挑むことを決めていく――。SFアドベンチャー。

久遠雪日には、昔から他の人には見えない不思議な生き物たちが見えた。彼は庭で見つけたガラクタみたいなカクカク動く生物「ネージュ・ララマン」と友達になる。ネージュ・ララマンはいつしか居なくなり、大学生になった雪日は、常に身体に水気がないと渇いてしまうという不思議な女性・澄川陶子に出会う。彼女は雪日の目を、ネージュ・ララマンと同じように「宝石」と褒め称えた。彼女との出会いで、雪日は大切なことを思い出していく――。切ない幻想物語。

「紺野愛瑠の関わることはなんでもうまくいく」という噂が学校中で広まり、彼女には様々な相談が持ちかけられている。同級生の藍田結希が彼女を観察していると、何故か紺野が失敗する未来が見えるようになった。彼女に近づくほど事実と異なる未来視に悩む藍田。紺野の助手として行動を共にするうちに彼女の噂が生まれた訳を知り、二人の距離は近づいていく。その向こうにあった世界の謎が彼らを――。青春ファンタジー。

大学生の深晴の元に、母校の中庭が閉鎖されるという手紙が届いた。なぜそんな手紙が届いたのか、差し出し人が誰か、彼女には心あたりがあった。深晴は学生時代に「あらたちゃん」と呼ばれていた、ぶっ壊れた体を修理しながら生きている化学教師とよく交流していた。喉にキャップのついた医療器具を付け、自分を「不良品」と謡う彼に、中庭で勉強を教わっていた日々を思い出していく――。穏やかで狂おしい不器用な青春物語。

ある冬の放課後、美術室でのこと。高校2年生の橘理彩は、男女でペアになって互いの似顔絵を描くという課題の居残りで、浅原拓海のモデルになっていた。結局その日に絵は完成せず、次の日も彼に付き合うことになる。恋愛感情はないはずが、彼への気持ちをうまく表現できず関係の変化を求めなかった。そして、親友の鏡良子に「浅原くんのことを好きな子がいるんだよね」と言われ、理彩の心は大きく揺れる――。成長と青春の物語。

ロックバンドを組むことを夢見ていた成谷響介。彼が目指す共立高等学校の軽音部には、有名ロックバンドが在籍していたと噂されていた。響介は入学後に憧れの軽音部に入ろうとすると、なんと廃部になっていたことが判明する。落ち込んでいると、クラスメイトの椀田律と好きなものについての口論となった。律には電子音楽とピアノについて天才的な才能があり――。孤独な個性が重なり合い奏でるロックバンドストーリー。

編集者の桐生妃奈乃は、サスペンス作家の本庄悠一郎の担当を務めている。ある日、本庄の自宅で次の連載に関する打ち合わせを終えて帰ろうとした時に、この後話があるから夕食を食べていかないかと誘われた。これも担当の仕事だと妃奈乃は了承する。そして夕食を食べながらワインを傾けていると、本庄に今書いている小説には男女の濡れ場があり、そのネタ集めに協力してほしいと距離を詰められ――。大人の甘い恋愛物語。

王子様のような人に巡り会いたいと夢見る花咲姫乃は、小学生の頃、久我王史という横暴で傲慢な男子に『グズ姫』と言われずっと意地悪されていた。王史とは中学に上がる時に離れ離れになり、それから十数年が過ぎる。ある日、姫乃が勤める会社の社長が代わり、榊原という新社長がやってきた。彼は姫乃の理想の王子様のそのもので、一社員の彼女にも優しくしてくれる。しかし、彼の瞳をどこかで見たことがある気がして――。ドS社長との恋愛ドラマ。

「私」は「火山島のカミノ邸」に住むカミノ氏と、その息子のヤスのお手伝いさんとして暮らしている。ある時彼女は、邸の地下室に、布で覆われた女性の遺体があることを知る。それは一体誰なのか、カミノ氏が時々口にする「エリ」という名の「前のお手伝いさん」の存在とともに謎は深まっていく。そしてもうひとつ語られる、不幸な家庭環境の中で育つ少女「絵梨」の物語とが重なり、真実が見えていく――。謎が謎を呼ぶホラー＆ミステリー。

アザリアは伯爵家の生まれだが、父が鉱山の投資事業に失敗して没落。アルコールに溺れる父との二人暮らしをしている。彼女は隣国からやって来た女性・ユウナに出会う。ユウナは王のメンタルをサポートする仕事をしており、莫大な給料を得ていた。ユウナはアザリアの身の上話に同情し、放っておけないと彼女が幸せになるために協力することを決める。良い関係ができていたが、ユウナはアザリアについて、あることを知って――。幸せとは何かを問いかけるサイコ・ホラー。

「呪いの村」と噂される越無村。そこは江戸時代後期に住民の大量死があり、その後昭和になって不可解な出来事が立て続けに起きて廃村となっていた。バーベキューを楽しむためにキャンプ場にきていた2つのグループのうち数名が、越無村に踏み込んでしまう。そこで彼女たちは、過去を再現したような凄惨な風景を目撃する。幻覚かと思われたが、やがて廃村を訪れた者に不審死が続いていく――。呪いに抗うホラーストーリー。

Dynamicsという性質を持つ者は支配したい性・Domと、支配されたい性・Subの2種類がいる。そのどちらでもなくDynamicsを持たないNeutralに属する幸村朝陽は、平凡な毎日に疲れ癒やしを求めていた。朝陽が街コンの帰りに独りでいると、猫のような丸い目をした見目のいい男・夏野晄に話しかけられて一緒に飲むことになった。晄は杯を重ねるうちに、自分はおちこぼれのDomだと悩みを口にして……。切ないDom/SubユニバースBL。

春の大祭で行われる《月と女神の踊り子(チャリコーラ)》による舞の奉納に心奪われた少年・レスティ。自分もチャリコーラになりたいとその姿に憧れ、男ながら踊り子になった。そして踊り子の踊りを見たり話したりしながら食事をできる店で働いていると、突然フィルと名乗る男がレスティを「買い入れたい」と言い出す。チャリコーラになるには潔白であることが求められるため、申し出を断るが――。舞踊と愛のBLファンタジー。

採れた花をごきげんに見せる小人さん。可憐なアナログイラスト！

麗らかな昼下がり、考え事に耽る美少女――。パキっとした鮮やかイラスト！