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千古不易さん [「魔法世界のグラフィティ」へのレビュー]
2015/8/6

イベントより参りました、初めまして。

一言で表すなら『気軽には読める』ですね。文体、世界設定、雰囲気はさくっと読める作品になっておりますが、異世界と言う設定を利かせた物語の醍醐味が少ない事で『異世界』の魅力が伝わって来ない。

厳しい言葉を選ぶなら、設定が杜撰なのです。異世界であるならば、土地の違い、地質、天候、農作物、風習、思想、宗教にしろ、言語の形体が細かく設定されておらず、異世界である必要性が魔物なり魔法なりだけなんですよ。

特に言語、地域により言語の差異はありますし、語源や発音、一つの言語として形成される背景がない。異世界に来た主人公の用いる言語『日本語』が通じるのは不可解な話です、この現代であれ何十と言語は溢れ、日本国内でも様々な言語の『訛』があります。他にも水の確保、排泄の処理は如何様な手段なのか、衛生面はどの程度なのか、またどの程度の衛生面を保つ為に理論的な設定があるのか。

食料は家畜を持っているのか、作物は土地に合ったどんな物か、住居は木造か、木造ならばその理由は。大工と言う専門職に類するものがある時代なのか。文字があるとするなら、識字率はどのようになっているのか。

とまあ、ざっくりと並べましたが、物語を読み進めて現実味を欠いた世界であり、現実離れしていると私は愚考しております。物語に於いて現実味とは重要な鍵です、主人公が拳で木を倒すのをなにも設定(読者が納得する説明)がなければ、現実味を著しく低下させ、中身のない骨組みだけの家屋のようです。しかし設定(読者が納得する説明)があれば、現実離れとして認識します。

この現実味と現実離れの違い、差異こそがあらゆる作品の根底にある基本です。現実離れとは魔法を使う、手から火が出る等で、『設定』がなければ単に現実味がなくなります。

そして今回の物語では物語の中で自然に得た情報、世界設定が現実離れと楽しめるに足るものではなく、現実味と言う読者に与えるリアリティ、五感に届かないものでした。現実味を欠けば物語とは楽しめず、現実味を持った現実離れこそがこの作品には必要でしょう。

かなり酷い言葉で申しますが、設定の作り込みが甘く世界の魅力が伝わって来ない、端的に述べると『楽しめない』です。

文字数もあるので、またの日を。なにか質問があれば気楽に私のエッセイにでもどうぞ。
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