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エブリスタ

依代さん

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自己紹介

初めまして。
趣味で小説などを書いています、依代(いよ)と申します。

雅号は『胡蝶(こちょう)』とつけていただきました!
(有)ユウさん、ありがとうございます!

エブリスタ歴1年になりましたが、
相変わらず、分からないことだらけです(笑)

マイペースに更新していきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。



作品の無断転載は、禁止させていただきます。



クリエアクター、出演させていただいております!


『九尾の宝刀』[リンク]
著:荒木功様

『恋愛活動 -Meets my darling-』[リンク]
著:昂月しえり様

『ころねこの休憩室』[リンク]
著:かがみねこ様

『ぐるさくシリーズ』[リンク]
著:本乃千貢様


地域:岐阜県

興味:小説 イラスト コミック

作品一覧

依代さんからのコメント

依代
依代さん
【作品】夏の海辺に魅せられて……についてのレビュー

 ザザンッと、白い波が打ち付ける。凪いだ日も、荒れた日も、この浜に通う私には、耳に馴染んだ音だった。

 夏の海は色をほんの少し深くして、青と緑が入り雑じったような水の色をしている。

 彼が消えていった日も、海はこんな色をしていた。


「何年待ったんだよ、あんた」


 そんな私の耳に、今日も無粋な声が聞こえてくる。

 最近になって現れるようになった男は、私に盛んにここを出ていくように告げる。

 だけど、聞き入れてなんてやるもんですか。

 だって、彼は帰ってくるって言ったんですもの。必ずここへ、私の元へ帰ってくると。だから、私は待っていなくちゃ。ここで、彼の帰りを。


「あんたの待ち人は、飛行機の片道切符に捕まっちまったんだ。……あんたはその男に騙されたんだよ。男の方は、生きて帰ってこれないことを、知っていたんだから」


 この男が何を言っているのか、私には分からなかった。

 いえ、本当はうっすらとは分かっている。でも、理解できない振りをしなくちゃ、私はここに存在していられない。理解して納得してしまったら、私はここから消えてなくなってしまうから。

 だから私は今日も姿を消す。この男に、消されないために。




「……男の最後の我が儘だったんだろうよ。狂うほどに愛した女を、他にどうしても渡したくなくて、ついた嘘の末路がこれだ」


 8月半ばになると、毎年必ず浜辺に佇む女の幽霊が出る。ビーチの営業に風評被害が出るから何とかしてくれと無理矢理引っ張り出されてきてみたのだが、やっぱり気が乗らない案件だった。


「どう? 送ってあげられそう?」


 こっちが悩んでいるというのに、相方は呑気に海を楽しんでいた。波際で遊んでいた彼女が俺の元へ帰ってくる。


「ありゃ無理だ。擦り切れてなくなるのを待つしかねぇよ」

「彼女は、何を待っているの?」

「帰らぬ人を待ってんのさ。自分も帰らぬ人になってまで」


 俺は腰を上げると、はるか彼方まで続く海を見つめた。きっと彼女の想い人が海の彼方に消えた日も、この海は同じ色を湛えていたのだろう。


「愚かだな」


 女を縛った男にか、あえて縛られ続ける女にか、かつての国の政策にか。

 どれに向けられたものか分からない言葉を溶かして、海はキラキラと輝いていた。

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2016/08/26 18:51
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