自己紹介未記入
地域:北海道
性別:女性
興味:スポーツ ファッション
ふみぃふみぃさん
ご丁寧にありがとうございます。どうぞ様づけはなさらずー。ただの素人ですので、恐縮してしまいます。
楽しんで頂けたら嬉しいです♪
美都
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「るーいくん、これ!」
「あ、私もぉ!」
甘ったるい声が類を囲み、それぞれの手からチョコが渡される。だが類はそれらに手を伸ばすことなく、顔を顰めた。
「いらない」
その途端、非難の声が一斉に上がる。
「えーっ、なんでぇ!?」
「せっかく類くんのために用意したのに!」
「受け取ってよー!」
普通の男子ならたじろぐ大勢の女子グループからの攻撃にも、類は怯むことはなかった。
「あのさぁ、鏡見てから出直したら?」
一瞬シン……と教室が静まり返った後、ひとりの女の子がワッと泣き出し、それに続いて非難や怒声が上がる。
めんどくさ……
類は隙間を押し広げ、輪の中から抜け出した。
『類くん!』
女子たちの声に類が振り返り、キッと睨みつけた。
「なんかまだ用があるの? それともこの場で全員のチョコ、踏みつけて欲しい?」
その迫力に全員黙り込み、去っていく類を見送った。
僕には、ミューさえいればいいのに。
隣のクラスを覗くと、美羽はクラスメートの女子と一緒に袋を持ち、男子にチョコをあげているところだった。
「ミュー!」
類が駆け寄り、美羽から袋を奪った。突然の出来事に皆唖然とし、類を見つめている。
「何してるの!?」
血相を変えた類に、美羽は宥めるように優しく答えた。
「クラスの女子全員から、男子全員に義理チョコ配ってるんだよ」
嬉しそうに微笑む美羽に、類の苛立ちが募る。
「どうして僕以外の男にチョコなんてあげるのさ!」
「え。でもこれ、私だけじゃなくて女子みんなだし、義理チョコ、だよ?」
ミューは、全然分かってない……
類はギリッと歯を鳴らした。
「来て!」
類は美羽から奪った袋を隣の女子に渡すと、美羽の手首を掴み、廊下を歩いて行った。
「ちょ、類……もう授業始まるよ」
「いいから!」
校舎の裏に連れていくと美羽を壁に押し付け、強引に口づける。
「僕以外の誰にも、チョコなんてあげないで。たとえ、義理でも」
美羽はコクンと頷いてから少し考え、首を傾げた。
「えと、お父さんは……いい?」
「父さんでも、だめ」
え、お父さんにも渡しちゃだめなの?
困ったような顔を浮かべた美羽だったが、いい考えを思いついて、笑みを見せた。
「じゃ、お父さんには類から渡してね」
「うん、分かった」
ミューのチョコは、僕だけのもの。
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