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机のほこり 創作ノート

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牧太十里エッセイ集

机のほこり 創作ノート

牧太十里 閲覧投★停滞してます

(4)

創作のための様々なメモ。週一程度ならぬ気まぐれ更新です。

完結

183ページ

更新:2018/03/03

説明

「そんなことない。私が知ってるのは三歳の時のあなただから」
「だけど、もう知ったんだ」
 腰を浮かせて洋子の手首をつかんだ。
「ああっっ、だめっ、だめっ」
 洋子が逃れようと、あお向けになった。
 私は膝立ちになり、もう片方の手首もつかんだ。洋子の顔が目の前に迫る。
「手を出したら、だめっ。いきなりはだめっ。まだ、この身体は経験ないんだから、まだ、トースト食べてないから、だめっ。シャワーも浴びてないのっ」
 洋子は妙なことを口走っている。この身体は経験ないって、どういうことだ。
「俺のトーストだ」
 洋子が持っているトーストをかじった。ついでに、洋子の唇のまわりについてるマーマレードを指で拭って舐めた。
「ふ~ん、襲われると思ったんだ。たがいの親が認めてる相手だから、何とかなるだろう、と俺が考えてると思ったんだな。
 マーマレードをたらすなよ」
 洋子の口のまわりを見ながら、洋子を起こして立ちあがった。炬燵のティッシュペーパーを箱ごと取って、呆然としている洋子に渡し、洋子が持ったままのトーストを、もう一度かじった。
「もう少しパンを焼く。何枚食べる?」
 洋子の顔をのぞきこんだ。
 洋子の顔が上気して赤くなった。
「わかんない。
 二枚かな」
 のぼせたようにぼうっとしている。すでにトーストを三枚食べたのも忘れているようだ。
「口のまわりを拭いて」
 洋子が持っているトーストを取りあげて皿に置き、唇のまわりをティッシュで拭いてやった。ついでに、両頬に手を当ててこっちを向かせ、口のまわりにマーマーレードがついていないか確認し、上唇と下唇に交互にキスした。
「・・・」
 洋子の唇からトーストの香ばしい匂いとマーマーレードとバターの味と匂い、そして、布団の中で嗅いだ洋子の匂いがする。懐かしい匂いだ。誰だったろう。
 洋子から離れると、洋子は目を見開いている。もう一度、顔を引き寄せて上下の唇にキスして舐めると、洋子が私の首に手をまわして引き寄せた。
「待って、パンを焼く」
 洋子は何も言わず、私の下唇に上下の唇を擦りつけ、唇を舐めた。
「もっと・・・、なんだか、いい気持ち・・・。
 キスって、こんななんだ。もっと・・・。
 初めてだったんだぞ、私。
 初めては、マーマレードの味・・・」
           
   「ガビオン・精神共棲体・再設定(未公開)」草稿から記載す

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