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エブリスタ
小虎

小説 青春

小虎

宇美

東京で暮らす私には故郷に忘れられない友達がいた。友情と神秘と郷愁の物語です。

完結

173ページ

更新:2018/02/10

コメント:今の季節にぴったりの静かで熱い友情物語です。魂込めて書きました。最後のページまで読めば泣けること請け合いです。

説明

 東京で暮らす私には故郷に忘れられない友達がいた。いつも私の身代わりになって助けてくれた彼に、私は何もしてあげられなかった。たった一つの約束もないがしろにして十数年ぶりに再会した私を、彼は変わらぬ優しい笑顔で迎えてくれた。

 昭和の終わり、ある海辺の田舎町、裕福な開業医の息子として何不自由なく育ったスグルは近所の由緒ある神社「白砂神社」の十二年に一度の祭りのスター「お稚児さん」に選ばれる。
 お稚児さんは祭りの間中、生神様としてあがめられる。馬にまたがったお稚児さんを中心とした祭り行列が町を練り歩き、最後に船にのって出立するのを爆竹を鳴らしながら見送るのがこの祭りのメインイベントだった。少なくとも江戸時代初期より前から続くしきたりでお稚児さんに選ばれることは大変な名誉だった。町内の男の子を持つ親はみなお稚児さんに憧れた。
 お稚児さんは祭りの始まる十五日前から拝殿や本殿のはるか奥にある裏山にこもり「禊」や「修行」をするが、甘やかされて育ったスグルにはそれが耐えられなかった。祭りの十日前になって、神社から逃げ出してしまう。
 祭りの直前になってお稚児さんが逃げ帰ってしまい、宮司達は困ったが、あてはあった。白砂神社に二日と空けず、母とともに参拝にくる少年だった。粗末な身なりだったが人目を引く端正な容貌と上品さをもつ、利発な少年だった。木林虎之助と言う名前でスグルより三歳年上、彼の叔父も虎之助と言う名前だったので、皆に「小虎」と呼ばれている。
 スグルは祭りの少し前にいじめっこからかばってもらったのをきっかけに小虎と仲良くなっていた。「小虎兄ちゃん」と呼び頼りに思っている。
 無事に修行や禊を済ませた小虎は、祭りの当日スグルの代わりにお稚児さんになる。きらびやかな衣装を身につけ、白い馬にまたがり、行列を従え、氏子達にあがめられながら、町内を周る。沼に面した坂道を下るとき、突然小虎の乗った馬が暴れだす。

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