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二度も殺害されたタクシー運転手

小説 ホラー

二度も殺害されたタクシー運転手 スマホ版

二度も殺害されたタクシー運転手

南 秀憲

今年は、何か恐ろしいできごとが身に起こりそうな予感が...

完結

20ページ

更新:2018/02/05

説明

私は悲しいことに六十三歳である。何が悲しいのかというと、六十三を六と三に分解すれば、【むざん】と読めるからだ。
 こんな私を、不幸が襲った。
社外に出た男が、助手席を開ける仕草をするので、仕方なく開けた。すると、いきなり男は、私の女形のような華奢な首に、大きな登山ナイフで何度も何度も突き刺した。私が覚えているのは、それだけだ。後の記憶がないところから判断して、多分出血多量で苦しむ間もない即死であったのだろう。
私は、二人組のタクシー強盗をどうしても許せなかった。そこで、自ら鳥取警察署に出向いて、彼らの行状を目撃者として訴えてやると、四日後に米子≪よなご≫でお縄になったと、駅前で買った新聞に大きく顔写真入りで掲載されていた。どこで手に入れたのだろうか、私の三十代の顔写真も一緒に……。というのも、私の属するタクシー会社には、不鮮明な顔写真しか出せていなくて、何度も、鮮明な顔写真を提出するように言われていたが、何度言われても、ボンヤリとした写真しか撮れなかったのも、事実だ。
この会社には、三十年以上お世話になっている。だが、足がうまく使えずアクセルとブレーキを踏む時に苦労することがあるのも、私に足がボヤーとしか存在しないのも、元々、死んで三十年経っているから、仕方がないと言えば、そうかもしれない。
でも、私は、今でも、依然六十三歳だが、現役バリバリのタクシー運転手をしている。

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