文春文庫×エブリスタ バディ小説大賞 第3回「キーアイテム」

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総評

最後となる第三回にもたくさんのご応募、ありがとうございました。

受賞作、入選作につきましては各評にもありますが、全体的な評価のポイントについて。

今回の「キーアイテム」は題材として書きやすかったのか、これまでとは違った作風の方の応募も多く、楽しく読ませていただきました。シリーズ物の中の一篇という形の応募作品もいくつかありましたが、シリーズ物を書く方には、ぜひ、一篇ごとに、キャラクターやシリーズの約束事がわかりやすくなるシーンやエピソード、セリフを意識して入れるようにしていただきたいと思います。連続性のなかで読まれている読者には言わずもがなのことであっても、新規で読む読者には、「この二人はどういう関係なのか」など、作者が当たり前と思って書き逃してしまっていることがひっかかり、物語に入っていけないリスクが生じます。

また今回のお題は「キーアイテム」でしたが、バディ小説でこれまでテーマとして掲出してきた「仕事」や「ロケーション」なども、小説を組み立てる上で、それぞれ重要な要素です。物語の設定を作る上で、職業や舞台を全く描写しないで「キーアイテム」だけに集中してしまうと、キャラクターが会話しているだけで情景が見えてこなかったり、場面転換が曖昧で、シーンが平坦なものになってしまったりします。

自分の書きたいことをより面白く、多くの人に楽しんでもらえるためにどうするか。読者の視点に立って見直すことも重要です。たとえば「天才」や「変わり者」というキャラクターは好まれる設定ではありますが、どんなふうに天才ぶりを発揮しているのか、どこが変わっているのか、という具体的なエピソードや会話によって説得力が生まれます。裏付ける具体的なディテールを描くことなく、ただ言葉で「天才」「変人」と言っているだけで、実際のキャラクターが平凡に見えてしまうと、設定負けしてしまうので、注意してください。

また、「バディ小説」なので複数の主要キャラクターが登場してきますが、同じ性別や近い年齢の人を出すときは、個性を立たせるためにより細かい書き分けが必要になります。区別がつきにくい似たような感じの人物や、既存の作品で見たようなキャラクター、都合のよい動き方をする平板な脇役ばかりにならないように、意識的に人物を作ってみてください。たとえ脇役であっても、印象に残るキャラクターが登場するとそれだけで作品評価は結構上がります。選外ではありましたが『UNDERLAWLESS』に登場した、鍵を見ただけでどこのロッカーのものか分かる人物などは面白いなあと思いました。

刑事ものや、便利屋ものなど、多くの有名な先行作品がある設定のときは、その枠組みやお約束を活用しつつ、どこかに独自性を持たせるようによく考えて、自分だけの魅力的な作品世界を作ってください。

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今回はファンタジーや流行の“あやかし”ものを書いた応募作品は多かったですが、文章力、構成力ともに抜きん出ており、非常に読み応えのある作品でした。すぐに惚れられてしまう僧侶の空穏やバディとなる神獣の牛もチャーミングで、ストーリーの中でいきいきと活躍していました。脇役のバックグラウンドも過不足なく書き込まれていました。全身まっしろな少女が繭玉から生まれてくるというイメージの喚起力や、空穏との恋愛要素もうまく盛り込まれていて、裏で糸を引いていた悪の正体が実は……という意外な展開もあって、達者だなあと感じました。後半は要素がうまく機能せず、盛りだくさんなわりに起伏に欠けた、という意見も出ました。これだけの力量があれば、そこをうまく整理しつつ、さらに物語を盛り上げていくポテンシャルはお持ちだと感じます。

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導入部が入りやすく、「キーアイテム」として登場する青い花はロマンチックな設定と見せて、そこから怒涛のハードボイルドなアクションが展開していくというストーリーを面白く読みました。巻き込まれ型のヒロインが、事情がわからないまま振り回されていくのもサスペンスフルで、舞台設定である南国の雰囲気がさらに非日常感を増幅していくのも良かったです。「選ぶ前の世界には戻れない。選んだ後はもう、別の世界だから」という言葉が象徴するように、自らの「選択」を物語の軸に据えていた点も高い評価を得ました。最終的に主人公の人生をちゃんと回収し、アクションをメインにしつつも別のレイヤーを仕込んでいた点を評価して最高点をつけた審査員もいました。一方でヒロインがもう少し魅力的であれば、という意見も出ました。彼女自身の才覚や能力によって窮地をしのぐのではなく、ただ“名前”のみがポイントとなっているように読めてしまうところは惜しいです。

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チャラくて甘いものが好きな捜査一課の男性刑事と、真面目な生活安全課の女性警官という組み合わせで、バディ小説としての完成度・読みやすさへの評価は高かったです。これでもかという意外な展開も、読者へのサービス精神に富んでいます。亡くなった女子高生しずるとその親友が、共感しながら死へと向かう感じもリアルで、センシティブな部分も書けていました。ビー玉、イヤホンなど、「キーアイテム」の伏線をしっかり回収されており、段階をちゃんと踏んでうまくミスリードしています。読者の予想を少し超えてくるあたりも良かったです。「広瀬すずのお姉ちゃんみたい」など、絶妙なセリフを繰り出しているところにセンスを感じました。完成度が高い分、「いじめ」「貧困」など、よくあるエレメントを繋ぎ合わせた印象が気になる、という声もありました。現代の社会派ミステリーで描かれることが非常に多いテーマなので、先行作品に傑作も多く、比較されるとどうしても採点が厳しくなります。どこかでくっきりとして鮮やかな「新しさ」があると、より高い評価につながったと思います。

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冴えない青年のところへ、魔法を使える美少女アヤが転がり込んでくる……というライトノベルの典型的な設定ですが、ストーリーに起伏があり、独自性がありました。いくつかここぞというポイントがあったのに、アヤが魔法を使うという設定をもっと活かしきれていないのが勿体なかったです。また、アヤの姉が迎えに来たあたりから、盛り上がっていく気配がありましたが、作品が尻切れトンボで終わってしまっているため、評価が上がりにくかったのが残念です。たとえば、姉妹の間に実は確執があるとか、フックがほしかったです。いろいろな設定を盛り込みつつも、その伏線を完全に回収するところまで行っていなかったので、今後の期待も込めての佳作です。

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スケジュール 募集期間:2018年7月2日(月)~2018年9月30日(日) 中間発表:2018年11月16日(金) 結果発表:2018年12月下旬予定 - 結果発表時に特別記事を公開 -文藝春秋編集者ご協力のもと、作家志望者必見の特別記事を公開!バディ小説、キーアイテムについて学べます。 賞・大賞 1作品(賞金10万円+電子書籍化+文藝春秋編集者とメールで5往復までのアドバイス[執筆スキル向上!!]) 準大賞 1作品(賞金5万円+選評) 入賞 1作品(賞金3万円+選評) 佳作 数作品(選評)
※該当なしの場合もあります。

募集内容
芥川賞・直木賞と深いかかわりをもつ文藝春秋と、エブリスタがタッグを組んで、「バディ小説」をテーマに新人作家育成プロジェクトを行います!受賞作に文藝春秋の編集者が選評をつけます。さらに大賞受賞者は、文藝春秋編集者よりメールで5往復までのアドバイス※1をもらえるので、レベルアップできること間違いなし!募集内容は「バディ小説」。今回のテーマは「キーアイテム」です。魅力的な主人公と、そのバディ(相棒)が登場し、手紙、不思議な宝箱、思い出の品などのアイテムをめぐる物語を募集します。

※1:受賞者より質問メールを5回まで送信、それぞれに対して編集者より返信を5回です。質問数に制限はありません。

応募要項 1)主人公に「バディ(相棒)」がいること 2)「キーアイテム」をテーマにしていること 3)3万字~5万字 ※文字数は「文字数カウント(空白・改行を除く)」を参考にしてください。 4)公開状態の作品

※上記4項目に沿っていない作品は選考外となります。

※非公開作品は審査対象外となります。

※お一人様、何作品でも応募頂くことが可能です。

※新作推奨ですが、過去作・他の賞で落選した作品を上記の形に再構成して応募戴くのも歓迎です。

※完結している必要はありませんが、〆切時点での完成度も選考の対象となります。

※エブリスタ内の他公式イベント(重複応募を許容しているイベント)との重複応募も可能です。

※エブリスタ内の他公式イベントで過去に受賞した作品で、書籍化などの予定のないものは応募可能です。他サイト等の文学賞で過去に受賞した作品は選考対象外とします。

※シリーズ設定されている作品も、エントリーされた話のみが対象となります。

※エブリスタ上での有料作品・無料作品のどちらでも応募可能です。

※応募締切り後の作品編集可。 (ただし、審査は、締め切り時点2018年9月30日(日)23:59:59のデータで行います。)

過去に開催されたバディ小説大賞

バディー小説大賞 第1回「お仕事」

バディー小説大賞 第2回「ロケーション」

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