第3回 yom yom短編小説コンテスト 

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yomyom 西村編集長のひとこと

作家のみなさんの創作活動に関する質問に、yom yom西村博一編集長がお答えします。質問投稿はTwitterのつぶやきに「#ヨムエブ」のハッシュタグを入れて呟くだけ! 回答は毎週木曜日に更新!

※採用された一問一答は物書きのためのメディア「monokaki」に掲載されます。

※編集長が回答する質問はエブリスタ編集部で集約・編集します。すべての質問に回答できるわけではないことを予めご了承ください。

今週の一問一答


山城木緑


文学賞では上位五作ほどしか選評をもらえません。この小説というジャンルほど、自分が進むベクトルが合っているのか否かを判断し辛いものはないのかな、と感じています。やはり上位に入って選評をいただくまでは、間違いを自己で予測し改善するしかないのでしょうか?


#ヨムエブ

2019.1.10


yomyom 編集長


他人の評価は“話半分”に、でもその半分を一生懸命に聞くこと

 なんというか野暮な人生論みたいになってしまうし、じゃあこの企画はそもそも何なんだってことにもなりかねないので書くのも気が引けるところなのですが、「自分が進むベクトルが合っているのか否か」を誰かが完全に判断してくれて、それに従えば安心なんていうことは、小説に限らずこの世の中にないような気がします。

 受験生ならテスト結果が数値化されて、それが上昇すれば「自分進んでいるベクトルは合っているんだな」と安心することもできるかもしれませんが、リアル社会で使い物にならないテスト秀才(って、めっちゃ後ろ指さされて生きてきたおれ)は珍しいものではないですし、コーチの指導に従ううちに自分のフォームを見失い才能を潰してしまうスポーツ選手の話などもよく聞きますでしょう? 小説の世界でも、新人賞一次選考の壁に何度も阻まれながら、後に大ベストセラーを生み出した作家は実際にいらしゃるわけです。ですので、「自分が合っているか否か」の答えは、酷な物言いかもしれませんが、自分で探すしかないのだと思いますよ。

 それは文学賞の上位に入って選評が付いても、同じです。新人賞って作家のスタート地点に過ぎないとも言えますし、そもそも選評は本質的には作品自体の評価であって、作家の行く末を考える(【山城木緑】さんのお言葉を借りれば「ベクトル」の正誤を考える)ものではないからです。

 いやもちろん、選考委員の方々はきちんと新人作家の“伸びしろ”にも慧眼を光らせています。それは選評の至るところに現れるはずですし、出版社だって“伸びしろ”のある新たな作家を探すのは最大の目的とすら言えるのですが、だからといって書き手のポテンシャルが作品の評価に100パーセント同期されるわけではないですよね。作家は選評の中から、ご自身のベクトルを確認する言葉をご自身の手で掴んで行く必要があるのでしょう。

 たとえば編集者は、作家の皆さんの原稿に「こういう表現に変えてはいかが?」という提案を出したりします。でも、優れた作品を生み出し続ける作家が、それを丸呑みすることはめったにないように思います。常にこちらの想定を上回る優れた推敲を、ご自身の判断で続けて行かれるわけです。言い方を変えれば、こちらの提案よりも「ああ、確かにもっといい。これは自分の頭の中からは出てこない」という直しが返ってくる時ほど、嬉しいことはありません。

 つまり一人の書き手が、作家として立つ基盤は、最終的には「オリジナリティ」に行き着くのではないかと思うのです。この点を見失うと、たとえば“最終候補の常連応募者”というような難しい落とし穴に嵌まってしまうこともあるでしょう。

 最終候補に残るような作品というのは、どれもある程度はきちんと“読める”のです。だけど、「誰かの準備した正解を揃えれば受賞できる」と書き手がどこかで思考停止している作品は、どうしても先行するプロ作家の設定や文体や世界観の切り貼りになって行き、その書き手は減点のしにくい作品は安定して生めるけど、ブレークスルーには届かない、という根深い問題を抱えてしまうわけです。

 でも――でもですよ、じゃあ唯我独尊で聞く耳持たず自分の殻に閉じこもればいいのかと言えば、そんなこともないわけですよ当たり前ですけど。それはもう、人生とはきっとそういうものであるのと同じように。

 さきほどの例に戻ると、優れた作品を生み出し続ける作家は他人の意見を丸呑みはしないのでありますが、一方で他人の意見を聞くチャンネルを、必ず半分くらいは開けているとも言えるのです。半分は聞いておいて、あとは自分で答えを“創る”のだと思います。

 そして編集者の仕事とは(あるいは本企画の存在意義とは)、その半分だけ開いているチャンネルに向けて、全力で思うところを申し上げて行くことにあるのだろうと思っています。

 このあたり、手前味噌ではありますが本誌yomyom連載「読みたい人、書きたい人のための、ミステリ超入門」の第10回(2018年12月号)をお読みいただけると、さらに具体的にご理解いただけそうな気がします。本連載は同僚の出版部文芸第二編集部編集長の新井久幸が執筆しているのですが(これまた手前味噌ですみません)、新井は以下のように記しています。

「いわゆる『パクり』というほど何か特定のものに酷似していなくとも、どこかで見たり聞いたりしたことの寄せ集めのような作品は、新人賞の応募作に散見される。そして、そういった作品は、結構面白いことも多い。好きなものを集めて、自分なりに再構成した世界なのだろうと思う。

 だがそれは、「何かに似ている」という印象を強く残すことになる。新人賞においては非常に不利だ。(中略)

 自分はなぜこの話が好きなのか、嫌いなのか。なぜこの人物が好きなのか、嫌いなのか。面白いのに心に残らないのはなぜか。嫌いなのに忘れられないのはなぜか。結末に納得がいかないのはなぜか、どういう決着なら納得がいくのか……。

 そういった日々の読書と自問自答の蓄積が、知らぬ間に『自分だったら』というオリジナリティを作っていくのだろう。」

 ……と、ここまでで終わりにしようと考えたのですが、もうちょっと具体的なことを書かないとアレですね。

 自分の作品の問題点を炙り出すためにできるのは、まず作品を何度も読み返すことだと思います。すごく当たり前のように感じられるかもしれませんが、これ、実は本気でやっている方はかなり少ないのだということを、かなりの確信とともに申し上げられます(だから我々は、誤字脱字だらけの原稿を見ると悲しくなるわけですよ。)。

 その上で、身近な人でいいので、誰かに読んでもらうことをお勧めします。自分とは趣味の違う人にお願いできれば、なおよし、かもしれません。もちろん、感性が離れた相手からは「ちょっと何言ってるか分かんない」的な反応が返ってきて、イラッとすることもあるでしょう。でも、自分のオリジナリティを誰かに共有してもらうというのは、その感性の壁をどうやって取り払うかという工夫の連続なのではないでしょうか。

 それこそ、相手の話は“話半分”に、でもその半分を一生懸命聞くというプロセスが、すごく大事なんじゃないかと思います。


まだまだ皆様からの質問を受付しております!質問の投稿は「#ヨムエブ」でツイート!

スケジュール&賞典

募集期間 2017年9月15日(金) 17:00:00 ~ 2017年11月30日(木) 23:59:59 結果発表 2018年3月16日(金)

●大賞(1作品)
・編集長講評
・yom yom本誌全文掲載
・別冊号掲載
・賞金3万円
●優秀賞(数作品)
・編集長講評
・yom yom本誌抄録掲載
・別冊号掲載
・賞金1万円
●入選(数作品)
・編集長講評
・yom yom本誌あらすじ掲載
・別冊号掲載

募集内容

「yom yom短編小説コンテスト」は、創刊10周年を迎えた新潮社の文芸誌「yom yom」に作品が掲載され、編集長から作品講評がもらえるコンテストです。入賞作品(大賞~入選)は講評と共に、2018年4月号(3月16日配信)のyom yom本誌で紹介されます。また、受賞作品と講評が載る別冊号も刊行され、エブリスタが主催/出展するイベントにて販売します。

さらに、コンテスト募集期間中、「編集長一問一答!」を同時開催!作家のみなさんの創作活動に関する質問に、yom yom西村博一編集長がお答えします。質問投稿はTwitterのつぶやきに「#ヨムエブ」のハッシュタグを入れて呟くだけ!回答は毎週木曜日、イベントページ内に更新されます。

※編集長が回答する質問はエブリスタ編集部で集約・編集します。すべての質問に回答できるわけではないことを予めご了承ください。

【yom yom西村編集長のひとこと】言葉は不思議です。 一人で言葉を獲得する人はいないので、それは明らかに自分の外からやってくるもの。 でも私たちは言葉を使い、自分の内側の様々な感情を表現します。 なので言葉の集合体たる物語は、私たちの外(=世界)と私たちの間に生まれた謎の生命であるわけです。 皆さんの世界と皆さんのDNAがミックスされた未知の生命体に出会えるのは、本当に楽しみです。

yomyom編集長 西村博一 インタビュー

応募要項

1)5000字~20000字の短編小説作品 2)完結必須 3)ジャンルは自由です

※お一人様、何作品でも応募頂くことが可能です。

※非公開作品は審査対象外となります。

※新作推奨ですが、過去作・他の賞で落選した作品を上記の形に再構成して応募戴くのも歓迎です。

※エブリスタ内の公式イベントや、他サイト等の文学賞で過去に受賞した作品は選考対象外とします。

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