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◆序◆紅き森

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◆序◆紅き森


 紅い花びらが風にさらわれた粉雪のように、絶え間なく大地へと降りそそぐ。

 薄暗いようでいて、煌々(こうこう)と明るい。そんな奇妙な空間に、少年はいた。

 立ったまま縄で樹木にくくりつけられた幼い体には、数え切れない程の傷や痕がある。

 それが人の手によるものであるのは、誰の目にも一目瞭然だった。

「なにを、しているんだい?」

 突然自分にかけられた何者かの声に、少年はのろのろと顔を上げた。

 乱れた紅髪の下にのぞいているのは、髪よりも鮮やかな深紅の双眸。

 久しぶりに聞いた人間の声に、少年は口端を引きつらせた。

 それは笑っているつもりだったが、他者から見れば、ただ傷の痛みに口を歪めただけにしか見えない。

「いみなんて、ない」

 少年は声の持ち主に向かって、掠れた声を返す。

 いっそ笑えてすらくる。一体今の自分は、どんな姿をしているのだろうと思った。

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