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夏と言えば・・・

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夏と言えば・・・

やけに蝉のうるさい日中。
カーテンの隙間から差し込むわずかな光とテレビ画面が薄暗い室内を照らす。
ぬるりとした手に握られた埃がかぶった花瓶。
足元には動かなくなった、友人だったモノ。
たかだか格闘ゲームで負け続けたぐらいでこんな事を…。
快適だった冷房がやけに冷たく感じる。
落ち着こうと震える手でタバコに火をつける。

一吸い  ふぅぅ

一吸い  ふぅぅぅ

アパートで一人暮らしなので、幸い家族に見つかる事はない。
まだ吸いきらないタバコを灰皿に押し付け、友人を押入れの中に押し込む。
意外に重い。
血をタオルで拭き取る。 意外に綺麗にならない。

ミィィィン ミィィィィン

蝉がうるさい。
暑い 寒い
気分転換で外に出かける。

近くの本屋で何をするでも無く立ち読み。
ただ読み続ける
読み続ける
読み続ける

日が暮れた頃に店を出て、コンビニでハンバーグ弁当を買う。
凄惨な人の死体を見たら肉がしばらく喰えなくなると聞いたが
そうでもないんだなと変な所まで頭が回る。
いや、一線を越えたらこんなものなのかな。


家まで歩いて15分ぐらいかかる。

一歩 一歩

近づく事に現実へ引き戻される。
鼻を通る弁当の美味そうな匂い。何だか腹が立った。

家の前に着いた。
いつもより暗い。
アパートを照らす外灯がやけに眩しく感じる。
うざい。


ガチャリ

鍵を差込み、重いドアノブをまわす。

真っ暗な部屋。
靴が散らかった玄関。

一歩踏み入れて電気をつけようとした時、鼻を通ったのは
ハンバーグ弁当の匂いと………



夏はモノが腐りやすい。

<終>

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