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年忌

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年忌

 死にたい、死にたい、死にたい、と死にたいを何度か紙の上に書いた。
何度死にたいと書いたらば、この気持ちが表現できるだろうか。
 くだらない人生など終わりだ。急いで死にたい。
 縄という縄がなかったので、首さえ引っかかればいいと、小さいころに遊んだ縄跳びの紐を押入れの奥のほうから引っ張り出した。 しかし、鼠にでもかじられたか、まったく使い物にならなさそうだった。
 では、刃物で手首を掻っ切るかと思いもしたが、私はそもそも血を見るということが考えただけでも震え上がるほど苦手で、どうやらこの方法もいただけなかった。だから、私は飛び降りをすることに決めた。
 とにかく、前々から死にたいと思っていた。誰かに構われたいという気持ちも含めていた。それでも、死にたいことに変わりはなかった。
 朝は一椀の飯と、鮭を焼いたものを食べた。昼は会社に出て働き、夜は寝た。何もなかった。ただ、死にたい感情だけが私の中をぐるぐると回っているだけである。誰かが私を指して、あまり笑わないとけなすので、私は笑うことにした。しかし、笑うような出来事もそうそうなく、つまらない冗談を聞く度に、私は困ったような顔をした。少し笑っているように見えなくもなかった。笑うということを試みてもなお、死にたいという感情はやはり腹の底の方で螺旋を描きながら、ずっしりと落ち続けているのであった。
 なにがあって死にたいのかと、問われたならば、何もないから死にたいと応えるだろう。正に無の繰り返しであった。輝かしい色も、汚らしい色も、何もなかった。一言で言えば、普通だった。
 そして今、マンションの屋上に立っている。

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