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第一章 マーズ

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第一章 マーズ

俺の名前は太田かずさ

どこにでもいそうな普通の高校一年だ

部活はどこにも所属していない。いわゆる帰宅部だ

中学のときは陸上部でそこそこの成績をだし俺なりに充実していて楽しかったが、3年の最後の試合直前に足に深刻な怪我をしてしまい、医者からはもとのようには走れないだろうと言われ、それいらいどんなに頑張っても報われないと悟り、それっきりまた走ろうとか何かにおもいっきり打ち込もうとか思わなくなり、一番楽しい中学3年をだらだらと過ごしてしまった

もちろん受験勉強も例外ではなく、テキトーにやり、府内ワースト3に入るであろう柳谷高校に合格しそれはそれでよかったのだが、担任に受けるように言われていた府内トッブクラスの霞ヶ丘高校に運よく合格してしまい、俺は母親と担任が強く奨めたのでそこに入学することになった

正直、俺も霞ヶ丘高校のほうが聞こえはいいしこっちのほうがいいんじゃねと思っていたが、入学してから後悔したね

あくまでも運だけで入った俺は案の定、ハイレベルな授業にまったくついていけず、早くも2週間たらずで落ちこぼれ一号になってしまった
まあ当然だな

だが同じクラスの木下って奴も授業についていけてなかったみたいで、俺達はすぐに気が合い、入学以来最初の友達ができた

他に友達を作ろうとか思わなかったね

なんせ周りの奴らは、過酷な受験勉強のすえやっとの思いで合格できたすごい奴らで、俺とはまったく違う生き方をしてきたから絶対気が合わないなと思ったからだ。それに運だけで合格できた俺を軽蔑しているかのような目でいつも見ていたから余計に思わなかった

その目からは、落ちた奴と代わってやれとか、お前といるとあほが移ると言わんばかりの目で、教室に入るたびに俺にその目が向けられるようになり、二ヶ月もしないうちに学校に行かなくなり腐りかけていたが、親の心配する姿を見ると情けなくなり4日ぶりに登校した

4日ぶりに門前に来たので少し違和感があったが、それはすぐに消えうせた

またあの目が俺に向けられたのだ

『やはりまだ慣れない』

そう思っていると、あの目にプラス俺をさげすむような笑い声まで聞こえてきた

ミニ登校拒否になったあのときの感情が蘇ってきて学校に背を向けようとしたとき、校舎の2階からあの目とは違い、どこか優しげな視線を感じ、向き直りその目線の送り主を見た

俺はあまり目がよろしくないのでぼんやりとしか見えなかったが、その主はロングヘアーでセーラー服を着た女の子であった。そしてその表情は心なしか微笑んでくれているようであった
その微笑みは天使に匹敵するのではないかというほど美しかった

そうしてぼんやり天使眺めていた俺に明るい声が話しかけてきた

木下勇気だ

「おっ、かずさ!なに4日も休んでんだよ。あんな気まずいところに俺を残すなんて、お前は鬼か!」

「悪かったな。また今度飯おごってやるから勘弁な」

「まあそれなら許してやるよ」

単純なやつだ。まあそういうところがこいつらしいと、この一ヶ月足らずで把握してしまった。いやそんなことは今はどうでもいい。そして、校舎の2階を見たがそこには天使の微笑みはなかった

「どうした?あそこになんかあるのか」と木下が聞いてきたが、めんどくさかったので「いや。別になんでもない」と言おとしたより先に木下が発した言葉に耳を傾けた
「たしかあそこは2年の校舎だよな」

さっきの言葉を言わなくてよかったと思い、もう少し質問してみようかなという俺の知的好奇心は学校の予鈴に阻まれた

「やべ。遅刻してしまう」という木下の言葉を合図に学校に入って行った

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第一章 マーズ

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