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――序章。

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――序章。

あれは先月か先々月か――。

とある冬の、冗談のように晴れて温かい日曜日。


「えっと…、お見合い…頑張ってね」

わたしは普段見慣れない姉の正装に戸惑いながらも、笑った。

わたし、九重 祈里は何処にでもいる 特筆する事もないくらい平凡な女子中学生だ。

内気でドジで引っ込み思案で…、そんな自分が大嫌いだった。

唯一 緊張しないで話せたのは、両親と、10歳も離れた蝶子お姉ちゃん他一部くらい。


「冗談じゃないわよ。なんっで、私がお見合いなんか!」

わたしとは対象的で、ハキハキしてて気が強いお姉ちゃんは今年で25歳。

スタイルもよくて、美人で、仕事も出来るバリバリのキャリアウーマン。


「仕方ないよ。お父さんの仕事の、大切な取引先の人とのお見合いだもん。断れないよ……」


わたしは必死で宥める。
お姉ちゃんは眉間にしわを溜めて、重く息を吐いた。


「とりあえず、会うだけ会ってみるさ」

「うん」


自宅前のタクシーに乗り込んだ姉が笑う。わたしはエールを送ると手を振った。

お父さんの経営する小さな会社に、いっぱい援助をしてくれてる大きな会社の社長が独り身の息子との見合いを姉に持ち出した。

酒の席でノリで決まった事ではあっても、相手の手前 下手に断れなく、お姉ちゃんはしぶしぶ見合いに出る事になった。

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