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日常

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「佐々木さん、これお願いできる?」

 佐々木さくらはその声に振り向いて、目の前に立つ男性を見上げた。

そこでは、比較的席の離れている上司が彼女に書類を差し出している。そして、さくらはその書類を見た途端、きれいに整えられた眉をひそめた。

 その視線を上司の席の方向へ飛ばす。そこの近くでは彼女と同じ仕事を受け持っている社員が席についていた。頭の片隅でその社員が受け持っている仕事と自分の仕事を比べてみる。

 ・・・どう考えても、自分の方が多くの量を抱えている。なのに、なぜ、自分に頼みに来るのだろう。

 書類から上司に目を移すと、彼はさわやかな笑顔を浮かべている。

 彼は仕事ができる・顔が整っている・性格がいい、と、女子社員から羨望の眼差しで見つめられるような人だ。今年30歳になる彼を未来の夫にしたいと、多くの女性が彼にアプローチをしていると聞いている。でも、彼女はこの上司の性格がいいとはどうしても思えなかった。

「ん? どうした?」

 現に今も彼女の視線の意味に気付いているだろうに、その視線に答える気はないらしい。

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