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好印象の二人

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好印象の二人

俺こと中津拓真は、青春と聞いて胸躍らせる。

素敵な出会いに期待するも良し。部活に打ち込み団結力を深めるも良し。気心の知れた友人と長く時間を共有するも良し。

青春と言うのは人それぞれだが、俺の場合は最後に紹介した友人との時間共有に他ならない。


色恋も知りたいところだが、やはり実現可能な青春に高校時代を費やしたい。

つまらん発想と笑いたければ笑うがいい。

雨が窓を打つ音がストレスを加重させてゆく。

恵みの雨とはよく言ったもので、枯れた大地に潤いを与えるだけではなく、人々の心に住まう不快指数をも育むようだ。


今日は朝からずっと雨だ。


外で部活に励む連中の中には、不意に訪れた休みに心躍らせる奴もいるだろう。

しかし俺みたいな無所属の一般生徒にとっては百害あって一利なしと言っても過言ではない筈だ。
例外など知らん。
詩的な方々には悪いが、雨は晴れに劣る。



溜め息が漏れる。

授業中でなければ豪快に毒でも吐き出しているのだが、目立つ行動はなるべく避けたい。


「はぁ~……。すぅぅー……はぁぁぁ~……」


俺じゃないぞ?


隣に座る女生徒――小寺波希は不愉快さを微塵も隠そうともせず溜め息を吐き散らしていた。

わざわざ息を大きく吸うあたり、気合いの異常な入れようが窺い知れるというものだ。


机に突っ伏し服従のポーズ。俺も隣人に倣い服従のポーズ。よく分からない人は、授業中最も眠りやすい体勢を想像してくれたらそれでいい。



現代文の授業で居眠りを咎められたことはない。

知っているからこそ、こうして微睡みに身を任せている。

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