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プロローグ マリア編

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プロローグ マリア編

八月某日
千葉県某所
マリアの屋敷

 高校も夏休みに入り、早いもので1ヶ月が経過した。今日も日差しがチリチリと肌に痛い。
 エアコンもない屋敷だけれど、森の奥にあることや湖が近くなことが幸いしてか、そこまで辛い思いはしていない。
 
 それでも、流石に日中は蒸し焼きになるんじゃないかと思うことが時々ある。
 なんとかしたいとは思うけれど、この屋敷には電気が通っていない。
 さて、どうしたものかと思案しつつ、ソファに寝転がって団扇で顔に風を送っている、そんな時だった。
 
「少年、ここに行きたいわ!いえ、行きたいじゃなくて、行くのよ!一緒に行きましょう!」
 突然僕の上を影が覆い、そんな言葉が降って来た。
 
「突然なんですか、マリアさん」
 僕、稲荷坂志恩[いなりざかしおん]は上半身を起こし、彼女――マリアさんの方を向く。
 
 零れる蜂蜜のような色をした髪。白いシャツに負けないほどの白い肌。
 満面の笑みを浮かべた彼女が、何やら雑誌を広げて立っていた。
 
「ほら、これよ!ここに行くわよ!」
 よく見るとそれは、旅行雑誌のようだ。
 『この夏絶対行きたいおすすめスポット&イベント特集』などという見出しがついている。

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