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1・青年落下

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1・青年落下



雷鳴とともに青年は覚醒した。


背中を風が圧迫し、長い髪は旗のようになびいている。


閃光に照らされた雨雲を背後に、青年は落下していた。


首を曲げると、大小雑多な建物が命の落下を静観していた。


摩天楼がそのまま空に突き刺さり、天を支えているように見える。


難しいことはない。青年は空から街へ、ただひたすらに落下していた。


今、何故、自分が落下しているのか。


自分で落ちたのか、人に落とされたのか。それは曖昧だった。


顔を隠した何人かの人間を覚えている。


彼らの前で落ちたことは確かだった。


身のこなしから、人が落ちていく光景を見慣れているとわかった。命を尊ぶ仕草はなかった。


そこからは覚えているが、その前は覚えていない。


初めての体験は落ちていくことだった。


確かなことは、このまま落下すれば死んでしまうということ。記憶のおぼつかない青年にもそれはわかった。


奇妙なことに、上空には飛行機の類はなかった。自分がどこから落下しているのかはわからない。


それらを確認し、思考するほど、着地までの時間に猶予があった。


間もなく、青年の体が地面に叩きつけられた。

 

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作品に関する書籍情報

奴隷区2nd. 新宿奇行会

出版社:双葉社

発売日:2014/6/18

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