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明くる明け

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明くる明け



時は午後6時。

夕に呑まれかけているこの国は11月12日。
夕に呑まれまいと光るこの町は残念ながら少し暗い。


その町の丁度中心辺りの小山に25年前に設けられた学校の校門には、「県立坂九楽高等学校」と刻印された石板が埋め込まれ、

夕闇に負けじと灯された街灯の光を受けて鈍く光っている。


その校門からぞろぞろと出てくる生徒、生徒、生徒、たまに一般市民、たまに教師、たまに保護者。


実は、一昨日から今日にかけて、ここ坂九楽高等学校では盛大な文化祭が行われていたのだ。


つまらなそうな顔の者もいれば、楽しそうな顔の者もおり、疲れた顔の者もいる。


つまらなかったのだろう。

楽しかったのだろう。

出店などの店番や調理で疲れたのだろう。


見られる表情は十人十色、しかし4割は疲れたような顔だろうか。


それもそのはずだ。



創設されて以来25年間続けられている文化祭。

毎年2日間しかなく、しかも一般公開日が2日目しかないのが通常だ。



ところが今回、校長が変わって最初の文化祭は、3日間。

一般公開日も3日間。

それだけではなく、ステージ企画やイベントの量、出店の数、アミューズメント的なもの、その他諸々……とにかく多い。


とてつもなく楽しむための要素が詰め込まれた、創設以来一番楽しい文化祭だったのだ。


どの生徒もはしゃぎ、踏ん張り、汗を流し、働き、遊び、転けては起き上がり。

今回の文化祭で入学志願者が増えることが目に見えて予想される、忙しい文化祭でもあったのだ。


はしゃいだ生徒も働いた生徒も転けた生徒も、最後には完全に元気を吸いとられてしまったのであった。


計画性のないこの祭りでは、売店などで財布も悲鳴を上げる。

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