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第1篇 時の廻りは誰が為に

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第1篇 時の廻りは誰が為に

曖昧になった時は、過去の傷を露にする

二人の少女が見据えた先に、世界は何を齎すのか

木々たちが鬩ぎ合いを見せる森。
天を突き刺すのではないかと誤認する程の深い深い森は、空すらもろくに仰げない程。

等間隔に響く葉や枝を踏む音が自然の喧騒と混ざって心地良さを生む。


怪訝そうな表情で歩く制服を来た女性は、怪訝そうな顔で周囲を見渡しながら歩みを進める。

此処は何処なのか、と。

木漏れ日すらも届かない薄暗さの中で、彼女はただ感覚だけを頼りに歩みを事を止めない。


「......」


女性はふと歩みを止める。
右目に眼帯をし、左に真紅の瞳を持つ彼女は艶やかな黒髪を靡せて周囲を再び見渡した。

気配。
魔力だとかそういった類いのものではなく、ただ人の気配を感じた為だ。

それから程なくして、茂みが激しく揺れた。
女性、源瀬 沙奈が身構える間すら無く、茂みより人影が姿を見せた。


沙奈は目を細めつつ、姿を見せた女性を見据える。

薄紫をした艶のある髪を後ろでポニーテールにし、端正で整った顔立ちの美女。
その瞳も髪色と同じくして、綺麗な薄紫をしている。
豊満な胸を黒い布で包み、その上からは彼女を護るようにして茶色のプロテクターが施されている。

下半身はスカートと似たような衣類を身に付けているが、それよりも露出が高く、鎖を用いた装飾が独特の雰囲気を醸す。


「あ、えっと......」


かち合った真紅の瞳と薄紫の瞳。
沙奈は気まずそうに後ずさりながら声をあげた。


「違いましたか、リュウを探していたのですが」


「リュウ......?」


「はい、私の主です」


会話は成立するようで安堵した沙奈。


「ですが、あなたからも強い力が感じられますね。私はレヴァ、神の代行者です。あなたは?」


「源瀬 沙奈です、沙奈でいいよ。でもごめん、状況に着いていけてない」


はあ、とため息つく沙奈を見、レヴァと名乗った美女は距離を埋めた。


「同じくです、サナ。私は昨日から仲間を見失いまして。まるで世界軸だけが変わってしまったかのように、会うことすら出来ていません」


手を開閉させて感覚を確かめる素振りを見せたレヴァは、そのまま薄暗い虚空を仰いだ。


「レヴァさん。その見解、あながち間違いではないと思う」


「レヴァ、で構いませんよ。それと、どういう意味でしょう?」


首を傾げたレヴァは、沙奈がこれから紡ぐであろう言葉に意識を向ける。

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