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プロローグ

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プロローグ



季節は初夏を迎えようとしている。


シュテルもその暑さが目立つようになっていた。あと数カ月もすれば更に暑くなる。


分かっていながらもそんな事を考えているとげんなりしてしてしまいそうや。


『クロノ、ぼんやりしないで!!』


ふと頭に響いた、女性の声に俺、赤嶺黒乃ははっとして前を見た。


茂みに隠れていて気づかれるはずもないと思っていたのに、目前からは巨躯が走り込んでくる。


全身を流れるような銀色の体毛で覆われているそれは確実に俺の存在を察知しているようだ。


見た目は群れをなし襲ってくるウルフに似ている。きっとそれもあって嗅覚が良く、人間の匂いを嗅ぎつけたに違いない。


だが、こいつ自身はただのウルフではない。ウルフの長とも言える変種、“シルバーヘッド”と言われる奴で、普通のウルフじゃ、桁違いの強さを誇る事で有名やそうや。


俺は迫って来るそれを見て思う。


数週間前の俺やったら…


ゲームセンターで玩具の拳銃で、画面の中で蠢く仮想の敵を倒していたあの頃の俺ならきっとこのまま、なんなく殺されてしまっていたやろう。


けれど今の俺なら…


いや、今の俺たちなら…


「“シャドーインパルス”!!」


シルバーヘッドの足が茂みを踏んだその瞬間、足元から無数の黒い帯のような影がその四肢の自由を奪う。


「クロノ!!」

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