/ 352ページ

虹の章

(1/29ページ)

虹の章



時間は巻き戻せない。


……なあ、教えてくれ。


あの日初めて会ったお前は、馬鹿のふりをするのがうまくて、けど明るくて、いい匂いがした。


なあ、光。


教えてくれ。答えてくれ。


……お前は、幸せだったのか?


──空は晴天に恵まれ、ひんやりとした秋風が男の頬を撫でた。


しかし、乾いた空の下でも男の心はジメジメと湿っている。


頭上では太陽が輝き、足下に色濃い影が伸びている。


男の目前には、遊園地のエントランスのような景色が広がっていた。


その土地は、東京と千葉の間にあたる東京湾沿岸の埋め立て地を利用し、離れ小島のようになっていた。


本島とは一本の道路が繋ぎ、上空から見たその地は、胎内とそのなかにいる胎児、そして道路はヘソの緒に見える。


総敷地面積はおよそ48万平方メートルで、一般的な遊園施設の敷地面積の3倍の規模を有す。


身長150センチの小学生が、その敷地の外周を徒歩でぐるりと一周歩いていくと、およそ2時間はかかる規模だった。


しかし、実際にはもっとかかるだろう。

 

/ 352ページ

虹の章

(2/29ページ)

みんなが送ったスター数

23580

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

作品に関する書籍情報

超空物件QLDK 長門一族の崩壊と二十一代目の遺言

出版社:ティー・オーエンタテインメント

発売日:2014/4/1

新着ピックアップ

急上昇ランキング|ミステリー・推理