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始まり。

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始まり。

『…………』

静かな部屋に少女の寝息が聞こえる。午後9時。
まだ小さい子供にはお眠の時間だ。
それに逆らうように夜の繁華街は決して眠らない。

エマ・ハーリー。静かに吐息を立てて寝ている少女だ。この二階にある部屋はエマのもの。10歳になった祝いにと、エマが生まれる前に買ったこの家の一部屋を彼女の両親がくれた。
エマはこの部屋にある大きい窓を気に入っている。なぜなら窓からなら街の様子を見渡せられるからだ。

『ブゥゥゥゥゥン   ブゥゥゥゥゥン』

何事も無い街に突然緊急時用のサイレンがなった。滅多にならないサイレンがなぜ鳴ったのか。

『………!』

エマは目を覚ました。少し重い体を起こし何が起こったのかと辺りを見回す。布団を掛け外しベッドを降り、離れる。エマは彼女お気に入りの窓に歩き寄り、閉まっていた白いカーテンを思いっきり開いた。

窓から見下ろした街の様子は…………。

とんでもないものだった。人間が人間を食べている………?でもソレは人間じゃなかった。まさにソレ自体が死んでいるからだ。血を垂れ流したり体の一分が無かったり、顔の色が通常じゃなかったり。でも彼らは動いている、生きている。つまり極端に言えば……ゾンビだ。

ゾンビ達は生きている人間を襲いかかり体の一部を噛んでもぎ取って食べている。
まさに地獄だった。

『!!!!!』
エマはこの光景に絶句した。思わず息を飲んだ。
逃げなきゃ………。逃げないといけない…。そう本能的にエマの脳内を駆け巡る。
とにかく逃げなきゃ。

『………お母さんっ!!お母さんっ!!』

エマはまるで食べられる運命にある鹿のように必死に駆け出した。一目散に部屋を出て長い廊下を渡り、ふらつく足で階段を降りた。

『お、お母さんっ!!』

下に降りるとリビングに向かった。母親が居るはずだからだ。

『お母さん!』

彼女は母親を見つけた。ハァハァと息を切らしながらも母親を見つけたため少し安心する。

『エマ!!』

『お母さん!!良かった!逃げないと!』

『逃げて!!』

『え…?早く一緒に逃げないと!!』

何で。冷や汗が額に流れた。

『早く逃げなさい!!!!
んっ、うあぁぁぁ』

母親からは掠れた悲鳴が聞こえる。エマは恐る恐る彼女に近づいた。

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