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1 紺碧の洞窟へ

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1 紺碧の洞窟へ

「燈明(とうみょう)、燈明――!」


その声に我に返り前を見ると、ちょっと困ったような担任の顔。


それは、そうだろう。


夏休みと言うのに私は今、冷房の効いた職員室の中にいて、ボーと暑い外を眺めていたのだから。



担任の話も聞かずに。


「大丈夫か燈明?もう少し話をしていくか?もし、進路のことで親と揉めているなら三者面談でも……それとも今回の件で何か問題があるなら話を聞くが?」


教師としてもベテランの、頭のてっぺんが、少し薄くなっている定年間近の先生は心配そうに私を見つめている。



「いえ大丈夫です。私も父の再婚には賛成ですから。それと進路も問題ありません……書類の方はお願いします」


――本音は嘘だ。私は父の再婚に納得していない。


自分では普段と変わりない態度のはずなのに、なぜか、納得していなさそうな先生に軽く頭を下げ、そそくさと職員室を後にした。

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