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第1章

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第1章

 真夜中に電話で起こされ、今から来いと言われたり、(僕の家から彼女の家までは電車を乗り継いで一時間だ)
 誕生日プレゼントが気に入らないから替えてきてと言われたり。とにかく僕の彼女は我が儘だった。
 それでも一緒にいたのは彼女の心が真っ白でほんとは優しくて、そして脆いからだ。
 自分が傷つくのが怖いから相手を攻撃して自分を守ろうとする。傷つくのを恐れているんだ。
 だから僕は『わかった。いいよ』って全て受け止めてきた。

 濃紺の空から降り注いでいる雨は糸のように細く、銀色に輝いていた。
『今から家のマンションの屋上へ来て。大事な話があるの』と彼女は言った。
 屋上、フェンスを越えて立っているのはずぶ濡れの彼女だった。僕は動けなかった。
『最後のお願いがあるの』
『……え』
『死んでください』
『……』
『あたしの後に』
 僕の答えを聞かないうちに、彼女は笑顔のままスと背中を宙に預けた。

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