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勝負

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勝負

「さあ! やってまいりました! この季節!
毎年恒例となりました、スイカの種飛ばし大会の始まりです!」


前方ステージから若手社員の溌剌とした声がマイクを通してイベントを進行する。


僕の勤める会社では様々なイベントが行われ、参加できるのは正社員だけ。


毎年必ず一回は同じようなイベントが行われ、待つものにとってはまたとない機会となる。


「では、早速対戦する方の抽選です!
社長、よろしくお願いします!」

「うむ。先月はあまり盛り上がらなかった。
盛り上がれば特別賞を出してもいい。
ぜひ全力で挑んでほしい」

本来は、社内の親睦が目的だったがいつしか社長の娯楽がメインになった。


「まず一組目に選ばれたのはこちら!
挑戦者、企画部! ナカムラ オサムさん。そして、対戦相手に選ばれたのは……同じく企画部! カナモト アキラさん!

呼ばれた方は前へ!
では、二組目! 挑戦者、総務課の……」


一組目が発表され、順調に名前が呼ばれていく。


「今年こそ俺が勝つ!」
「ははっ 僕には勝てませんよ」
「言ってろ! 今度こそ負けねえ」


「……フフフ。……フフッ」
「ねぇ、なんで私? 種飛ばしとか恥ずいんだけど」
「……フフフ」
「ちょっと聞いてる?!」


「おい。俺に不満でもあるってのか? ア?」
「あ、いえ、僕は応募してません!!」
「……そうか。まぁお前にそんな度胸ねぇよな。
やるからには真剣にやれよ? 減給は避けたい」


僕の周りでもイベントについての会話が聞こえてくる。


参加するには、事前に設置された応募箱に自分の名前と、対戦したい相手の名前を記入して入れておくだけ。

それをイベント当日に社長が抜き取り、書かれていた者は強制参加となる。

だがしかし、本人に内緒で名前を書いて勝手に応募してしまう人は当然のようにいる。

もし生半可な勝負をすれば社長が減給処分を下すし、誰もが真剣になるイベントだ。



「続いて……挑戦者、営業課の……」



――この続きを聞いて、僕は気を失いかけた。


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