/ 4ページ

ミッドナイト・イン・マイ・ルーム

(1/4ページ)

ミッドナイト・イン・マイ・ルーム

 真夜中。四角い部屋の中、私はベッドに横たわっている。街灯も月明かりも、遮光カーテンで締め切って、本物の暗闇が、見えない垂れ幕みたいに視界を遮断する。物音ひとつしない。以前は壁時計があって、規則正しく秒針が音を鳴らしていたのだけれど、眠れぬ私は真っ暗闇の中、目だけが冴えて、カチコチうるさいその音に気が狂ってしまいそうになるから、撤去してしまった。

 私の心をざわつかせる幻影が、浮かんでは消え浮かんでは消え、どうしても眠れない。幾度目かの寝返りを打った時、「沙世ちゃんまだ眠れないの」と唐突に声がした。同じベッドを共有している陽太だ

「うん、なかなかね」
「早く寝たほうがいいよ、夜は起きていたってロクな事考えないんだからさあ」
「そのロクな事が私の眠りを邪魔するの」

 陽太がそろりと吐くため息が、わたしの耳に届く。からだが、疲れている。
 ぎゅっと目を閉じて思い浮かべる記憶は、陽が当たるこの部屋だった。窓から差し込む柔らかな日差しの中、あるべき場所に置かれたインテリアたち。アロマキャンドルに空気清浄機、陽太とわたしの満面の笑みを収めたツーショットの写真立て、淡いオレンジの光が気に入って買ったクラシックなランプーーどれもその一つ一つに大切で愛しい思い出が詰まっていて、だから今日、陽太に手伝ってもらってすべて捨てた。ランプと写真立てが置かれたサイドテーブル代わりのチェストすら捨てたものだから、腰が痛い。あれはひどく重かった。

/ 4ページ

ミッドナイト・イン・マイ・ルーム

(2/4ページ)

みんなが送ったスター数

0

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

新着ピックアップ

急上昇ランキング|恋愛