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 それは、四十九日の夜のこと。
 オレは、弟の小指の骨をこっそり桜の根本に埋めた。

 弟が死んだ。
 横断歩道を飛び出して、居眠り運転のトラックに撥ねられて、そのまま戻って来なかった。

 本当に……本当に、一瞬だったんだ。
 あまりに突然の出来事に、「嘘だ」と事実を否定する隙さえ与えられなかった。


 血塗れでボロボロになった体。
 どこも見ることのない虚ろな目。
 アスファルトにジワジワと広がる血。

 命が尽きる様を、心臓の止まる瞬間を、自分の魂の半分が欠けていくような思いで、ただ見詰め続けることしかできない。


 ――今、オレが抱えている、満身創痍の男は誰だ?
  弟? それとも、オレ?

 不思議なことだとは思うが、弟の臨終は自分自身のそれに立ち会っているような気分だった。


 カズキ。
 双子のオレの弟。
 同じ顔と遺伝子を持つ弟。
 オレの魂の半分とも云える弟。
 その弟が虫の息なのは、誰のせいだ?

 ――どうしよう。

 ――どうしよう、オレのせいだ。

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