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すてーぶん・たいらー

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すてーぶん・たいらー

出会いというものは偶然であり、また必然であるらしい。

彼、岡部滋実がその人物と出会ったのも、嘘のような偶然であった。

梅雨の時期を間近に控えた5月の終わり、太陽が沈むか沈まないかの時刻に、近所を30分ほど散歩するのが滋実の日課である。毎日同じような時間、同じコースをのんびりと歩く。

滋実の住む街は坂が多い。ともすれば、這って登ったほうが良いのではないかと思うくらい急な坂道もある。

心肺を鍛える為と、いつもはその坂を通るのだが、この日はなんとなく坂を迂回した。

本当に、「なんとなく」だった。

なんとなく、坂に続く小さな路地を右折して、幼い頃にはしゃぎながら駆け抜けた小道を、ゆっくり、ゆっくりと歩く。

もう走ることは難しい。いや、走れないことはないのだが、去年、幼稚園児の孫と一緒に走ってみたら、道路のほんの僅かな溝につまずいて転んでしまった。

自分はもうそういうトシなのかと、痛いのやら恥ずかしいのやらで、尻餅をついたまま苦笑いしていると、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。

同時に、すぐ近くの家から50代くらいの主婦が、転がるように飛び出してきた。

「だっ、大丈夫ですかっ!」

金切り声で主婦が叫んだ。

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